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全国の書店員による、おすすめ本のフリーペーパー「晴読雨読」通称"はれどく"の公式ブログです。


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初めての別冊! 私の本屋大賞(PART3)

⇒PART2から続く



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 本屋大賞に参加するようになってノミネート発表後のあたふた回避の為にも(そんな大袈裟なもんじゃない)、気になる本はチェックするようになったのだけど。まー、なんだ。中々に自分が選んだ本がノミネートに入らぬのにも若干慣れた感はある。慣れたかないやいっっ!

 もう聞き飽きたでしょうが、コロッケです。大島真寿美『あなたの本当の人生は』(文藝春秋)。ぶっちゃけて言えば新人作家は次の物語を編むことなくひたすらコロッケを揚げ、大作家はとっくに自ら作品を産む作業から遠のき、何故か義務的に続けていた秘書が「書く」ことの虜になっていた、どんな内容だ、そりゃ。でも持っていかれたのだ、タマシイが震えてしまったのだ。大島作品は現実と幽玄の狭間に気が付けば置かれている時がある。あまりにも移動が自然で何処にいるのか分からなくなる。でも不安にはならない。光が見えるからだ。 直木賞ノミネートで大島真寿美の名前を知った人が来年以降注目してくれますよーに。

 ゲキ押ししてたもう1冊は小手鞠るい『アップルソング』(ポプラ社)。1945年6月、岡山での空襲で瓦礫の中から拾われた命。命と自然を重んじる茉莉江が生涯の仕事に選んだのは報道カメラマンだった。茉莉江の生い立ちを語る「私」こと美和子。彼女たちが時間を共有したのはほんの一瞬。けれどその糸は強く強く結びついていた。戦場に暮らす人々を写した岩井蓮慈の写真、それは切り取られた刹那の時間。まず驚くのはこれが架空の物語である点。 思わずネット検索して茉莉江を探してしまった。茉莉江はいませんでしたが、日本女性初の報道カメラマンに笹本恒子さんという方がいらっしゃる。この方の著書も併せて読むのはいかがでしょう。

 これ、ホントに入れたかったんだー。でも、小説を対象としている本屋大賞に、ノンフィクションは投票できない(泣)。佐々涼子『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(早川書房)。紙のぬめり、この本にはこの紙質とインクなどなど、こだわりの職人芸を見せてくれる方々が主人公。日本製紙石巻工場は東日本大震災により被災、当日出勤していた従業員を1人も欠くことなく生き残るもその被害の甚大さと業務復旧へのカウントダウンの行程が、すざましい。ティッシュ箱ごと丸抱えで読むべし&デートの前には読まないように。
                                 【紀伊國屋書店 名古屋空港店(愛知県)山崎蓮代】



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 私は本屋大賞に投票する際の基準を決めている。一次投票では「書店員に読んで欲しい作品」、二次投票は「広く一般に読んで欲しい作品」である。ベストテンに入ってノミネートに残れば、少なくとも投票する書店員は必ず読まなければならないから、そこで「こんなに面白い小説があったのか!」と書店員にこそ発見してもらいたい、と思っている。まあノミネートに残るのは毎年一作品くらいだけれども。そんな私が一次投票に投じた作品は、

1.米澤穂信『満願』(新潮社)
2.歌野晶午『ずっとあなたが好きでした』(文藝春秋)
3.連城三紀彦『小さな異邦人』(文藝春秋)

だった。結果的には今年も『満願』一作のみノミネートに残った。『満願』は昨年のミステリ界を席巻した作品でもあり、皆さんも読んだだろうからここであまり多くは語らない。昨年、私が一年中推し続けてきた小説だ。
なので、ここでは残り二作品について詳しく紹介しよう。

『ずっとあなたが好きでした』は去年10月末に発売され、タイミングが悪すぎたためにランキング系に全く引っ掛からなかった不運な作品だ(ミステリ界では10月末がランキング投票の年度末なのだ)。しかしこれこそ、ミステリマニアの私が激推しする超絶傑作なのだ! 様々な世代やシチュエーションの恋愛模様を描いた短編集だが、最後にトンでもないことが待ち受けている。読みながら腰を抜かすことを保証しよう。『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)ばかりが歌野晶午ではないのだよ。不可能としか思えないようなことを可能にするイリュージョンを見せてくれるのもまた歌野さんの魅力なのだ。

 本屋大賞に故人の小説を投票するのは趣旨に反するかも知れないのだが(仮に大賞になっても発表式に来れないからね)、それでもどうしても多くの書店員に読んで欲しい、という気持ちが勝ったのが『小さな異邦人』だった。連城さんの最晩年の作品集でありながら、まだ前衛的なミステリを発表し続けていたことは奇跡ですらある。とりわけ表題作「小さな異邦人」はオールタイムベスト級の誘拐ミステリ。未読の皆さんも騙されたと思って、表題作だけでもいいから読んでみて欲しいなあ。そしてこれを機に、連城三紀彦の傑作群に触れていただけたら嬉しい。                     【啓文社 ゆめタウン呉店(広島県)三島政幸】



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『はれどく』本誌で分不相応にも連載をやらせていただいております。今回は別冊ということで、本の紹介をさせていただく機会がやってまいりました! テンションが心配ですが、連載とは違った大人な感じで行こうかと思います。
 本屋大賞第一次投票ではいつも必ず「この作品大好きなんだけど、きっとノミネートに届かないだろうから、このオレが投票するッッッ!」という作品を一つ作っておりまして、今回その役目に当たった本が山田宗樹『ギフテッド』(幻冬舎)であります。

 実は山田宗樹さんは前年『百年法』(角川文庫)でノミネートされており、『ギフテッド』ももしかして……という思いがない訳ではなかったのですが、社会派という硬質な側面を持っていた『百年法』に比べると内容が少しばかりエンタメに寄っていたので、今までの本屋大賞の傾向からするとノミネートには届かないかな、と分析した結果、見事にノミネートされませんでした(残念)。

 内容は、「何の機能を持つかわからない未知の臓器を持った人類」が生まれ出した現代社会で、ギフテッドと名付けられた彼らが、研究のため政府に保護されて暮らしているのですが、特段、普通の人間と変わりない。ところが、あるきっかけで彼らに特殊な能力が芽生えはじめ……。
 という超サイキックSF小説なわけで、厨二病を発病して以来、未だ完治はおろか、日々症状を進行させているボクには心が躍りまくってラッスンゴレライを始めてしまうくらいの設定、展開! 『バビル二世』や『風魔の小次郎』でサイキックバトルに目覚め、『AKIRA』で衝撃を受け、『ガンダム』でニュータイプごっこをしたボクにはまさにうってつけ。「オ、オレごとこの本をその剣で貫け……! オレの中の超能力好きな悪魔が覚醒する前に……ッ!」っていうくらい好きです。

【人類vs新人類】という構図、それをラノベではなく、きちんとしたリアリティある現代社会を背景として描き切ったこの作品、いかがですか? え、読まない? いや、ちょと待ってちょと待ってお兄さん、読まないってなんですの?                                 【ブックポート203(神奈川県)成川真】



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 2014年1位はここ5年の中でもだんとつ1位!
 今まで一度も、投票した作品が大賞どころかノミネートすらされたことがなく、いつかわたしの好きな本たちもあの大舞台に……と夢見ている酒井と申します。今回、己の自己満足な好みを存分にさらしてよいとのことなので、嬉々として参加を。
2014年は個人的にはなかなか、好きな本に巡り会えなかったのですが、この三作は絶対の自信を持ってお勧めできる三作です。

3位 周防柳『八月の青い蝶』(集英社)
 戦争、広島、原爆、そのころ少年だった父親の初恋の記憶。死の間際、仏壇から翅の欠けた青い蝶の標本が出てきたところから、回想シーンがはじまります。戦争中といえど、町の人たちは今と変わらず恋もしたし、学校をさぼったり、親に怒られたりしていました。そんな少年時代の淡くも切ない初恋をものすごく丁寧にみずみずしく切り取った一作。処女作とは思えない文章力であっと言う間に引き込まれました。

2位 松家仁之『優雅なのかどうか、わからない』(マガジンハウス)
 作家デビューから三作目、デビュー作からずっと好きですが、今作も素晴らしい。40代で離婚した主人公が古い家を借り、手作りで住むところを一つ一つ作りながら、本当に好きな人との生活を考えてゆく話。
 主人公も脇役もキャラクターがみんな愛らしく、しっとりと美しい文体なのになぜか笑ってしまうところもあり。もうこの本自体がラブレターのよう。もちろん一番大切な人への。

 そして第1位! 梨木香歩『海うそ』(岩波書店)
 傑作。ただそのひとことだけであとの言葉は全部のみ込んでしまいたくなるほどの傑作。本当にこの本だけはほとんど誰にも感想を言えなかったし、勧めることもできませんでした。それだけ自分の中に深く入ってきて染み込んで、時が経てば経つほどその色は濃くなってくるというすごい本。変わりゆくものを止めることはできない。そのことをゆっくりと、でも受け止められるようにいつかなりたいと、そう思った本です。おそらく一生大切にする本に出会えました。

 あーーまったく字数が足りない!
 海外文学のほうもですねぇ、傑作がたくさんあったのに……。それはまたの機会にでも。
                                       【丸善 津田沼店(千葉県)酒井七海】



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「本屋大賞」という名前もまだなかった頃から、もう十数年の時が経ちました。賞を創ること自体も夢物語のような話だったというのに、いつしかすっかり大きな賞になり、「この人にあげたい」と思っていた作家さんにも授賞していただき……と夢は次々に叶ってきました。

 が、実行委員でありながら一回もやったことがない大きな体験が二つ。一つはアンベールの瞬間を見ること。(受付担当としてずっと外に居るので、リハーサルとテレビ以外で見たことないんです)。二つ目は投票をすること。この度、胸を張ってエア投票を出来る場をいただいたので、今年の一次投票をするつもりになってやってみたいと思います。
 脳内会議を開催し、まずは三冊を選び、そこから順位付け。悩みに悩みました。コメント書きながらも順位を何度か入れ替えたくらいです。そしていざ投票!

●3位 藤岡陽子『手のひらの音符』(新潮社)
 一年に何度か「言葉の力」というものを信じたくなる作家、作品に出会います。この作品の登場人物たちを支えたのは、弱い立場に居ながらも優しさを忘れない人々の強い言葉でした。読み終わった本は付箋だらけです。

●2位 王城友紀『天盆』(中央公論新社)
 作者は登場人物に加えて蓋という国と「天盆」という新しいゲームを産みだしています。天盆が強いことが権力に繋がる世の中で、ただ楽しいからという理由で、キラキラした目で「天盆」に向かい合う主人公、凡天が魅力的でした。もっと多くの人に読んで欲しい。

●1位 上橋菜穂子『鹿の王』(KADOKAWA)
 上橋さんの書く世界。そこにはその土地を生きてきた人々、彼らの耕した土壌、食物、動物、信じた宗教、病のすべてが描かれます。読み終わったあとも、あの世界がどこかで続いているのを感じます。上橋さんと同時代に産まれ新作を読んでいられる事がなによりの幸せです

 初投票は楽しかったけど、選択は辛かった! 皆さん大変な思いをしているのね。という事を共有しつつ、これからも裏方頑張ります!    【日本出版販売株式会社 マーケティング本部(東京都)古幡瑞穂】



掲載作品リスト
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by haredoku | 2015-04-07 19:41 | 『はれどく 別冊』私の本屋大賞