人気ブログランキング | 話題のタグを見る


全国の書店員による、おすすめ本のフリーペーパー「晴読雨読」通称"はれどく"の公式ブログです。


by haredoku

カテゴリ

全体
ごあいさつ
配布店一覧
『はれどく vol.12』
『はれどく vol.11』
『はれどく vol.10』
『はれどく 別冊』私の本屋大賞
『はれどく vol.9』
『はれどく vol.8』
『はれどく vol.7』
『はれどく vol.6』
『はれどく vol.5』
『はれどく vol.4』
『はれどく vol.3』
『はれどく vol.2』
『はれどく 創刊号』
試し読み部
はれどく 旅部
未分類

検索

その他のジャンル

『はれどく vol.8』 後編

⇒前編から続く



ぬくぬくしながら読む雪の寒さという矛盾、ぜいたく~。
【紀伊國屋書店 名古屋空港店(愛知県)山崎蓮代】

『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18204519.jpg


 今年の冬は「アナ~ゆき~」旋風になるんだろうか。暑いより寒いの方が好き、だって誰にでも「寒いよぅ」って抱きつけるじゃん(末端冷え性)。一応相手は選ぶけどな。

 雪と言えばこれ! 読んでるだけで歯の根が合わなくなりそうな一冊、真保裕一『ホワイトアウト』(新潮文庫)。テロ組織に乗っ取られたダム、孤軍奮闘する主人公、雪雪雪! そんで水! 何で生きてるのよ、キミ!? とまあいろんな意味でシビれます。

 ヘニング・マンケル『北京から来た男』(東京創元社)。雪深く暗く重い雲、スウェーデンの村で起きた凄惨な連続殺人事件。犯人の手掛かりを手繰る弁護士は100年もの時間を隔てた殺意に辿り着く。何処からどうやったらスウェーデンが北京に結び付くのか。人間の感情はこんなにも根深くいびつに形作られるのかとゾッとする。北欧のミステリは空のグレイと雪の白さが似合う気がする。

 魔法使いが月を引き下ろして創った王国 〝 緑の凍土 〟。伝説の鹿サルヴィ。複雑な生い立ちのディアスは奸計により故郷から追放されてしまう。幼馴染みのアンローサも自らに危機が迫る中でディアスを追う。目も開けていられないような吹雪に現れる幻想的な光景にはためいきが出る、うっとり~。乾石智子『ディアスと月の誓約』(早川書房)。乾石さんの極上なファンタジィ、もっともっと注目されてもいいのになあ。知らないと損しちゃうんだから。

 むかーし、昔。高校の卒業旅行に友人たちと九州まで青春18きっぷの旅をしたのだが、確か福岡に入る頃かな、ちらちら舞い落ちる雪を車内から見ていた友が「何で九州なのに雪が降るのさ!」。……沖縄以外何処でも降るんですけどー。九州の上から下までそらもーどこでんかしこでん。4~5cmくらい積もって下校途中側溝に落ちてはまったことだってあるんだから。そんな思い出から、引っ張り出した佐々木倫子/綾辻行人『月館の殺人』(小学館IKKI COMIX)。天涯孤独の空海(くうかいと書いてそらみと読む)が電車に乗って向かうは祖父の住む北海道。車体の横に流れる雪、胡散臭い乗客と空海を乗せた列車内で起きた殺人事件。犯人探しより乗客の鉄分が多量過ぎて、そっちにやられちゃうかも。



連載 有楽町の食いしん坊・新井見枝香の
〝 読んでから食う? 食ってから読む? 〟
【三省堂書店 有楽町店(東京都)新井見枝香】

『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18383631.jpg


 最近、乾かしちゃいけないものって多くない? 私の洗面所、水張った容れ物で一杯よ。まず「入れ歯」でしょ。これ乾くと形変わっちゃって、歯茎痛~くなっちゃうから要注意よ。それと、育ててる「かいわれ大根」。腐らせちゃいけないから、毎日忘れずに水換えるために、ここに置いとかないとね。食塩水じゃないとダメなのが、「着脱式いくら」え? あんた私より若いくせに、知らないの?

 田丸雅智っていうイケメンショートショート作家が『海色の壜』(出版芸術社)って本を出したんだけど、その中の一編に「魚屋とぼく」っていう可笑しいお話があって、そこでチラッと出てきたから、気になったのよ。私、いくら大好物だから。 この人のショートショートは奇想天外な空想が多いけど、たま~にほんとのこと混ぜて書いてんの。私にはわかるわ、ダテに年くってないわよ。まぁその魚屋は少し変わっててね、例えば「折りたたみタチウオ」とか「ポータブルおこぜ」なんかを売ってるの。どんな魚かって? それは自分で読んでちょうだい。超短いからあっという間に読めるわ。でね、そこに「着脱式いくら」って名前は出てくるけど、どんなもんか詳しく書いてなかったから、ググってみたわけ。そしたら198000件もヒットもしたわよ。今、若い子の間で流行ってんだってねー。ワンデーもあるけどやっぱり割高だから、私はツーウィーク派。楽天で買ったら安かったわ。でも取り外したら食塩水に漬けておかないと、ひからびてダメんなっちゃうの。

 え、気付かない? ちょっとよく見てよ~私の瞳。いくらみたいに若々しく輝いてるでしょ? ほんとはルビー色だったんだけど、酔って帰ってきた旦那が醤油に漬けちゃってね。ムカついたから、旦那の「着脱式ワカメ」で出汁取ってやったわ。そう、あの人ヅラなのよ。ヅラワカメは逆に、水濡れ厳禁。しばらく職場でサイババって呼ばれてたみたよ。アハハいい気味!



まだまだあるぞ! 〝 雪 〟 の本
『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18414026.jpg


『アグルーカの行方』角幡唯介(集英社文庫)

1845年の北極探検で、隊員129人が全滅したフランクリン隊。彼らに何があったのか知りたいと思っちゃった角幡さんが、雪と氷の世界をひたすら歩いた1,600km、103日間の北極圏横断記。読んでるだけで凍える。【丸善 津田沼店(千葉県)沢田史郎】

『味写入門』天久聖一(アスペクト)
「雪」というテーマで頭の中に降ってきたのは、113ページの「雪だるま師匠」だ。107ページのライバル「残念な雪だるま」を凌ぐインパクト。憧れの師匠に現在弟子入り志願中。
【三省堂書店 神保町本店(東京都)内田剛】

『きょうというひ』荒井良二(BL出版)

雪のなかで、おんなの子が小さな家をたくさん作りました。そのなかに「きょうというひ」のためにろうそくを灯します。消えないように、消えないように。「きょうというひ(日々)」を、大切に大切に生きてほしい。と、優しく伝えてくれる絵本です。
【黒木書店 井尻店(福岡県)原田みわ】

『クリスマス・キャロル』ディケンズ作/村岡花子訳(新潮文庫)

クリスマス・イブの夜、偏屈でケチな老人スクルージが過去に相棒として過ごしたマーレイの亡霊の予言をうけ、三人の亡霊と共に様々な家を訪問し、人々に触れてスクルージは心を入れ替えていく……。雪の足音が聞こえて来るような、繊細な表現を『花子とアン』の村岡女史が訳しています。大人から子供まで誰しもが感動できる名作です。是非このクリスマスに大切な人と読んでください。
【黒木書店 井尻店(福岡県)安増真人】



『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18445216.jpg


『ディアスと月の誓約』乾石智子(早川書房)

鼻が痛くなるくらいシンとした一面の銀世界! イメージにぴったりの装丁に引き込まれ、きっと貴方は、ディアスと共に、雪の大地へと旅をする事でしょう。魔術と呪いの攻防が息を飲む雪と炎のファンタジー! やっぱりファンタジー大好きだ!
【フタバ図書GIGA上安店(広島県)新竹明子】

『ひとさらい 笹井宏之歌集』笹井宏之(書肆侃侃房)

猫に降る雪がやんだら帰ろうか 肌色うすい手を握りあう
三万年解かれなかった数式に雪を代入する渡り鳥
二十六歳で夭逝した歌人 笹井宏之氏の命日は一月二十四日。冬のこの時季になると必ず読み返す歌集です。
【明林堂書店 大分本店(大分県)前畑文隆】

『冬の本』北條一浩 編(夏葉社)

雪といえばこの表紙が思い浮かびました。冬は寒くて苦手ですが、本書を読んで 〝 冬に読むべき本 〟 が確かに存在することに気づき、少し冬が楽しみになりました。ひっそりとした静けさと、その中に浮かぶともしびを感じさせるようなエッセイ集。
【さわや書店 野辺地店(青森県)熊澤直子】

『骨を彩る』彩瀬まる(幻冬舎)所収「指のたより」から

若くして亡くなった妻の夢を見るたびに指が欠けていく。その夢で、雪に埋もれた家で妻と二人でチキンラーメンを作る。とても暖かく美しい夢。でもやっぱり指は欠けていて、さびしい……。とても美しいシーン。なぜかこのシーンを繰り返し思い出す。ラストに降るイチョウが雪に見えた。
【紀伊國屋書店 横浜店(神奈川県)川俣めぐみ】

『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18474886.jpg


『僕だけがいない街』三部けい(角川コミックスA)

母の死の真相を探るため「幼かったあの雪の日」を主人公が何度も繰り返すタイムループもの。これほど次の巻が恋しくて喉が渇く漫画はひっさびさ。完結する前に読んで、この渇きを味わう価値は大いにアリですぞ。
【成田本店 みなと高台店(青森県)櫻井美怜】

『雪猫』大山淳子(講談社文庫)

飼い猫たちが飼い主たちを思う真っ直ぐで、けれど決して叶うことのない思いに心をえぐられます。雪の降るラストシーンがあんなにも美しいのは彼らの思いが純粋無垢だからこそ。雪が降る度に切ない気持ちになってしまうのはきっとこの物語のせいなのです。
【蔦屋書店 イオンモール幕張新都心(千葉県)後藤美由紀】

『ゆきのひのうさこちゃん』作・絵 ディック・ブルーナ/いしいももこ 訳(福音館書店)

雪がしんしんと降る、とても寒い日の朝に私はこの世に誕生しました。ベッドからポトンと本が落ちる音で親が「あ、寝たな」と判断する程、ずっと読み続けていました。自分ができることをする大切さを教えてくれた本。
【山下書店 南行徳店(千葉県)髙橋佐和子】

『四月一日亭ものがたり』加藤元(ポプラ文庫)

マイナスイメージから始まったはずの人物が、読了したら『無事でいてほしい』と願わずににはいられないほどになっていた。彼の心の変化していく様子が、積もった雪が溶けていくように感じた。
【未来屋書店 亘理店(宮城県)松本めぐみ】



連載 店長・成川真の 〝 右往左往 〟
【ブックポート203(神奈川県)成川真】

『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18505585.jpg


ボクは本が大好きです。たくさんのことを本で知りましたし、人生において重要な教訓もたくさん教わりました。ボクは本が好きです。でも、それと同じくらいマンガも好きです。
キリンさんも好きですし、ぞうさんはもっと好きです。
一気にマンガという文化が隆盛した過渡期を生きてきた皆様は共感していただけるかと思いますが、ボクもまさしく「そんなくだらないマンガばっかり読んで! 勉強しなさい!」と怒られて育った世代です。そんなボクの人生は、今にして思うと、マンガによって助けられた人生ともいえるかもしれません。ええ、いえるんです、大げさでなくて。そう、マンガって実際すごく役に立つんですよ!
ということで、今回はいくつかボクの好きなマンガの役に立った名言を紹介したいと思います。

まずは名言の宝庫せきやてつじ『バンビ~ノ!』(小学館ビッグコミックススピリッツ)から。すべてのサービスマンの指標になるであろうこれ。
「人をもてなし、心から楽しませる事が出来る人は、人をもてなす事を心から楽しめる人だけだ」
まさしく真理でしょう。仕事だからって嫌々やっていて、人を楽しませることができるはずがない。これはもう努力とかじゃなく、その人の持つ本質を問うているのかもしれませんが、楽しめる努力や工夫は誰にでもできますよね。

次はまたしても名言の宝庫、城アラキ 原作/長友健篩 漫画『Bartender』(集英社ヤングジャンプコミックスデラックス)より、
「人はバーテンダーという職業につくんじゃない。バーテンダーという生き方を選ぶんだ」
ボクはこの台詞の「バーテンダー」という部分を、「書店員」と置き換えています。でもって、時に(自分が考えたんだよ)みたいな顔を平然として後輩たちに言い聞かせてみたりしています(笑)。そうなんです、ボクのいうことの9割はハッタリかパクリです(←秘密ですよ)。

次は、もはやボクの座右の銘といってもいい皆川亮二『ARMS』(小学館少年サンデーコミックススペシャル)からの名言。マンガのセリフを座右の銘っていうと安っぽく思う方もいるかもしれませんが、本当にいい台詞で、つらくなった時には何度も何度も自分に言い聞かせています。
「人の足を止めるのは絶望ではなく『諦観(あきらめ)』、人の足を進めるのは希望ではなく『意志』」
夢や目標に向かえなくなったら、それは自分を取り巻く状況のせいではなく、あきらめた自分自身のせいなのだ……。何かのせいにしたら楽ですよね、言い訳になりますよね、自分自身への。でも、それが自分のせいだとしたら? こりゃもうがんばるしかないでしょ!
 ちなみに、マンガの名言では日本で五本の指に入る知名度を持つ安西先生の「諦めたらそこで試合終了ですよ…?」も、これに近しいかもしれませんね。

さて最後に、これはコミックではないのですが、とってもいい名言なので皆様に贈りたいと思います。先ほどのコミック『Bartender』の作中にも出てきます、仏教の言葉なのですが、
 「裸にて 生まれてきたに 何不足」
 明石家さんまさんも「人間生まれてきた時は裸。死ぬ時にパンツ一つはいてたら勝ちやないか」といっていたそう。
ということでどうでしょう?
 これから、夜、寝る時だけでも裸になって、初心を振り返ってみては?



掲載図書一覧
『はれどく vol.8』 後編_d0315665_18533819.jpg

by haredoku | 2015-01-09 18:54 | 『はれどく vol.8』