全国の書店員による、おすすめ本のフリーペーパー「晴読雨読」通称"はれどく"の公式ブログです。


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『はれどく vol.7』 テーマは【笑い】 !


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シンプルで笑える、でもそれだけじゃない。四コマ漫画入門
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「笑い」というテーマを聞いたとき、真っ先に思いついたのは「四コマ漫画」というジャンルだった。
起承転結がはっきりしていて最後にオチがつく、というのが四コマの基本形。読みやすく、わかりやすいのが魅力ではあるが、雑誌で読切感覚で読まれることが多かったり、単行本になっても売れにくかったりする。
しかし四コマ単行本は、相性が合えば再読性がとても高く、コストパフォーマンスのよいものなのだ。新聞四コマに代表されるように形式としてはなじみ深いものだし、もっと読まれてもよいはず、と常々思っている。
今回は、人気作家の作品の中から、幅広くおすすめできそうな作品を五つ紹介する。

むんこ『だって愛してる』(芳文社)は全三巻。売れない作家である夫と、それを支える妻の物語。読むほどに「だって愛してる」というタイトルがじわじわと沁みてくるストーリーが最大の魅力。夫婦もの四コマ不朽の傑作だと思っており、まず第一に推す。
佐藤両々『わさんぼん』(芳文社)は既刊三巻。四コマには「お仕事もの」が多いが、これもそのひとつで、和菓子職人の話である。一見いい加減だけど仕事に対しては真面目な主人公と、融通が利かないけど根はいいやつなライバル的存在、そして強く可憐で魅力的な女性陣、などなど。とてもバランスのいい四コマ。
小坂俊史『ラジ娘のひみつ』(竹書房)は既刊一巻。四コマ界で「王子」と呼ばれている著者には他にも代表作があるが、あえてこれを推す。ラジオ局を舞台にした、毒があってとても切れ味のよいまっとうなギャグ四コマ。
重野なおき『うちの大家族』(双葉社)は既刊十二巻。長寿シリーズというだけで少しおすすめしづらくなるのだが、日曜夜六時台にこの作品を原作にしたTVアニメが放映されていてもおかしくないくらいの大家族コメディの傑作。一巻本の「ベストセレクション」も発売されているので、そちらから入るのがいいかもしれない。
そして、宮原るり『みそララ』(芳文社)は既刊六巻。私が四コマ単行本をおすすめするときには外せない作品。デザイン会社を舞台にした、これもいわゆる「お仕事もの」だが、人と人との信頼関係があってこそよい仕事が生まれるのだ、ということがきちんと描かれている。四コマとしての面白さも申し分ない。
【七五書店(愛知県)熊谷隆章】



この笑いが、本当に怖い
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ここ十年のホラー映画の変化にPOV演出というものがあります。POVとは 〝 Point of View 〟 の略で、主観視点のことです。映画の主人公が撮影してしまった恐怖の映像が後に見つかり・・・という形をとることも多くファウンドフッテージとも呼ばれています。低予算で大ヒットした『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999年)以降、ホラー映画との相性がよく『REC/レック』(2007年)、『パラノーマル・アクティビティ』(2007年)、『クレイヴ・エンカウンターズ』(2010年)などホラー映画のヒット作はPOV演出が目立ちます。

さて、本書は怪奇小説の短篇集ですが、表題作である『ゴースト・ハント』はこんな言葉で始まります。

〝 ラジオをお聴きのみなさん、いかがお過ごしでしょうか、こちらはトニー・ウェルドンです。ゴースト・ハントの第三回目の時間がやってまいりました。〟

全編がトニー・ウェルドンのレポートで語られるラジオ番組という形です。
ラジオ実況であるがために、見えない状況を読者が思い描くことで恐怖が増幅されていきます。

ウェルドンが冷静に状況をレポートしていきますが、徐々にそれが不可解なことだとわかって来ます。
そして恐怖のあまり冷静さを失ったウェルドンはこうレポートします。

「はっはっはっはっ、わたしいま笑ってますね、みなさん」

この笑いが、本当に怖い。

本作の発表は1961年の『冥界より彷徨い出でし者』という短篇集。
いまから50年以上前の小説でPOV映画のような恐怖を体感できることに驚きます。

1920年代から活躍した英国怪奇小説の名手ウェイクフィールドの『ゴースト・ハント』は、レポーターのウェルドンのように読者は恐怖のあまり引きつった笑いが出てしまう傑作短篇集です。

ちなみに前述の映画『クレイヴ・エンカウンターズ』はテレビの超常番組スタッフがとある精神病院で遭遇する恐怖を撮影したファウンドフッテージもの。『ゴースト・ハント』の現代版といっても良い内容でこちらもオススメです。
【進駸堂 中久喜本店(栃木県)鈴木毅】




ごらん、本が息づいているよ
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ちょっと内輪っぽいかなと思いつつ、今回のテーマにぴったりと思った二冊を紹介します。

 能町みね子『雑誌の人格』(文化出版局)は雑誌の擬人化読み物。国会図書館に通いつめバックナンバーを読み込んだ著者が、各雑誌の読者像を独断と偏見で想像。年齢、容姿、家族構成、趣味など「勝手に考えて」各雑誌3ページ、約40誌の「人格」をイラストと文章で紹介しています。こんな感じ。
 小悪魔アゲハさん。年齢:22歳。職業:夜の蝶。家族構成:息子(飛宙凛)。好きな言葉「盛る」好きな場所:やっぱ地元やろ。
 フラウさん 年齢:31歳。職業:会社員。居住地:東京都新宿区。家族構成:一人暮らし(猫を飼いたい)。好きな俳優:西島秀俊。行ってみたい国:バルト三国。
 レオンさん 職業:会社役員。居住地:東京都港区。家族構成:一人暮らし(3LDK)趣味:時計、ゴルフ……というか、本当は特にない。愛用品:パテック カラトラバ。
 それはいいすぎだろ! という部分と、そういわれるとそうかも? という部分のバランスが絶妙でありまして、この本が出た頃ちょうど雑誌のメイン担当をしていた飯田は大変爆笑しつつ売場づくりの参考にしておりました。雑誌が好きな人はいわずもがな、そうでもない人はこの本を入口にめくるめく雑誌ワールドに足を踏み入れて頂ければ!

 横山了一 加藤マユミ『飯田橋のふたばちゃん』(双葉社)は、見た目は悪くないのにいまいちぱっとしない双葉ちゃん(この設定からもう始まってます)が、学校の友だちの集英ちゃん、講談ちゃん、小学ちゃん、秋田ちゃんらと織りなす業界ネタ満載(というか本当それのみ)の出版社擬人化日常ギャグ四コママンガ。各キャラクターはその出版社の刊行物と社風(経営状態、体制なども含めて)を体現していて、若干、いや相当ハイコンテクストではあるのですが、ところどころぷふふと笑ってしまいます。「そういやあれもここだった!」とはっとさせられることも多く、ミステリの鮮やかな伏線回収にも似た爽快感があります(個人的には第20話「たのしめ! 幼稚園」などはその意味で非常に好きな回です)。この本をきっかけに出版社を気にしながら本をよんでみてはいかが!
【飯田正人(書店員)@IIDAMASAT0】



鯨統一郎と蘇部健一の時代が、そのうち来るぞ。たぶん、きっと……?
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「第二問」
 部室に緊張が走る。
「ファイブボンバーです」
「ネプリーグ方式!」
鯨統一郎『歴史バトラーつばさ』(PHP文芸文庫)より)

 東川篤哉が本屋大賞を受賞した時、こんな緩いギャグミステリが受けるなら、鯨統一郎と蘇部健一のアホミスが受ける時代だって来るはず、と言ってきたのだが、一向にその気配が見られない。なので、ここで布教活動をしておきたい。

 鯨統一郎はデビュー作『邪馬台国はどこですか?』がある意味頂点で、それを越える作品にはなかなか出合えない。が、バカバカしさは増してきて、そっち方面では脂が乗ってきている。事件現場に現れては「この事件は、「ペッパー警部」の見立てです!」と無理やり懐かしの歌謡曲に当てはめる間暮(まぐれ)警部シリーズ『「神田川」見立て殺人』(小学館文庫)と、女子高生うららがタイムスリップして過去の大事件に遭遇する『タイムスリップ森鴎外』(講談社文庫)シリーズが凄い。前者はたった一冊で紅白歌合戦の出場歌手と曲名を全てもじって見せる『マグレと紅白歌合戦』がくだらなさ過ぎて逆に感動。後者では、『タイムスリップ釈迦如来』のラストシーンのバカバカしさと豪華絢爛ぶりは一生忘れないと思う。『タイムスリップ水戸黄門』では、黄門様ご一行が現代にタイムスリップする。例のあのシーンをどこで、誰に対してやるのかが最大の見所だろう。

 蘇部健一はトホホなデビュー短編集『六枚のとんかつ』がなぜかシリーズ化して4作も出ている。1作目の文庫版には、初刊当時あまりにも下品だとダメ出しされてボツになった作品も日の目を見ている。そのタイトルは……さすがにここでも書くのは憚られるので、実物に当たって欲しい。ラスト1ページのイラストで落とすパターンのミステリも得意で、ツボに嵌れば笑えるはず。
 近年はなぜか感動恋愛ミステリ路線がお好みなようだが、感動させようとしてるのに不思議と笑いが込み上げてくるのは、『六とん』の印象で読んでしまうからだろうか?

 小説の出来はともかく(失礼)、爆笑というよりは「苦笑」の世界だが、気が付けばそれがクセになるはず。さあ、ブームが来る前に読むべし!(頼むからブームよ来てくれ……)
【啓文社 コア福山西店(福山市)三島政幸】



【書店で婚活!?】
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出版界唯一の専門紙「超新文化」の片隅に掲載された小さな記事が話題を呼んでいる。

【書店で婚活!?】

『ナショナルチェーンいち自由な社風といわれる三省堂書店が、また業界の注目を集めるサービスを始めた。その名も<逃げ恥婚活by三省堂>女性社員の結婚率低下を心配した副社長が、30代以上の数十人にヒアリングしたところ、「仕事が楽しいので恋愛している暇はない」「結婚はしたいけど旦那に毎日ご飯を作るのとか絶対無理」といった声があがった。さらに「むしろ炊事洗濯掃除をしてくれる人募集」「親を安心させたいが、私は同性愛者だ」といったびっくり発言まで飛び出して、副社長は聞いたことをやや後悔した。しかし有楽町店のこじらせ系独身社員が、「イケメンのハウスキーパーほしー」と口にしたことで、副社長はひらめいた。海野つなみ先生のコミック『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社)のように、条件と気の合う者同士を契約結婚をさせてしまえばいいのではないか、と。主夫になりたい男性に、バリバリ働きたい女性が賃金を払い、ルームシェアのように同居すればいいのだ。そこで三省堂書店では、『逃げ恥』の購入者を対象に、店内の一画で婚活パーティーを定期的に開き、『逃げ恥』のような契約結婚を前提とした出会いを提供し始めている。もちろん同社の社員も参加可能だが、それほど給料が高くない書店員は、イケメンどころを外資系OLなどにことごとく奪われ、なかなか条件の合うお相手を見つけられないようだ。』
【三省堂書店 有楽町店(東京都)新井見枝香】



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『学生時代にやらなくてもいい20のこと』朝井リョウ 文藝春秋 9784163752501 ¥1,000 + 税
本を読んでいて「ブハッ」と笑いが吹き出す本なんてなかなかないわたしの秘蔵本。時間の許す限り全力で遊び全力でバカになれる大学生活。お金はないけど時間とチャレンジ力で突き進んでいく自分に正直なその姿は、読んでいるとどんどん心が軽くなっていく清涼本でもあります!
【紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店(神奈川県)安田有希】

『三国志男』さくら剛 幻冬舎文庫 9784344422209 ¥730 + 税
今や、科学だの心理学だの著書もある知性派エッセイスト(笑)さくら剛センセイの真の魅力は脱力系アホ旅記にこそある。三国志ゆかりの地を数ケ月かけて廻ったこの本を一度も笑わずに読み終えたヒトは人間じゃないと思うね。
【精文館書店 中島新町店(愛知県)久田かおり】

『おおやまさん』川之上英子 川之上健 岩崎書店 9784265081271 ¥1,300 + 税
毎日、きびしいかおで幼稚園バスを運転してるおおやまさん。いかついイメージの運転手さんが、花に水をやったり椅子を直したりする時にみせる笑顔に、さらにほろっとさせるラストにじわーん。
【ころころむし】



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『ああ言えばこう食う』阿川佐和子 檀ふみ 集英社文庫 9784087473315 ¥520 + 税
言いたいことを言い合える友人関係は、なかなか築きにくい昨今。学生のときに母から借りて読んで以来、お二人のファンに。ユーモアセンスが心地良い。読後は「ゲラゲラボー」と踊りたくなる。
【山下書店 南行徳店(千葉県)髙橋佐和子】

『板谷バカ三代』ゲッツ板谷 角川文庫 9784043662043 ¥590 + 税
お腹がよじれる程笑える本として(私の中で)歴代No.1の地位を未だに破るものがいない怪物的爆笑エッセイ本! 著者ゲッツ板谷氏も、たいそうブッ飛んだ方ですが、祖母→父→弟へと続く濃厚な「バカ遺伝子」に、ヒーヒー笑って、時に号泣させられるのは私だけではないはず! 特に火炎放射器で自宅を全焼させた父(ケンちゃん)の右に出るモノは居そうにない。
【黒木書店 井尻店(福岡県)原田みわ】

『匂いをかがれるかぐや姫』原倫太郎 原游 マガジンハウス 9784838717279 ¥952 + 税
「竹取物語」など代表的な昔話三話を自動翻訳ソフトで英訳、それをもう一度和訳すると……「回転することを強いられ、ある場所に竹盗品の老人と呼ばれるおじいちゃんがいました」って、何のこっちゃねん(笑)。世界一、読み聞かせが難しい本だと思う。
【丸善 津田沼店(千葉県)沢田史郎】

『女子中学生の小さな大発見』清邦彦 新潮文庫 9784101317311 ¥400 + 税
この本を手に取ったお客様は周りを気にせずクスクス、クスクス。そして購入。年齢層も中学生~お年寄りまで。あえて内容には触れません。自分の目で確かめて下さい。絶対に笑えますから!!
【未来屋書店 清水店(静岡県)前本浩美】
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by haredoku | 2014-10-10 11:50 | 『はれどく vol.7』