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全国の書店員による、おすすめ本のフリーペーパー「晴読雨読」通称"はれどく"の公式ブログです。


by haredoku

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『はれどく vol.6』 テーマは【re-born;再生】 !



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新連載 アヒルの無駄話
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 ガァ! どーも、アヒルです。
えー、このたびはれどくリボーンという事で、新しい企画を大きな期待と共にここに登場することになりました。

 というしょっぱなから嘘をつきましたごめんなさい。そもそも、期待など、はなからされていないんです。
 4月に全国から変な書店員が集まる変屋大賞授賞式という、いや本屋大賞授賞式というイベントがありまして。そこではれどくの編集長? 首謀者? 背の高い人? が半笑い、いや全笑いで「はれどくVOL2の【はじめてのアヒル小説】、あれくだらなくてよかったよ、わらっちゃった、くだらねぇから」
(ここで宣伝。『はれどくVOL2』は、はれどくブログでDLできるんです!)
(どうすか編集長! この宣伝テクニック)
「で、またなんか長いの書いてよ(ゲラゲラ)」なんておっしゃるので、期待されてる! いいもの書くぞ! と思ってたら「そうだね、タイトルは【アヒルの無駄な話】とかどう?」「無駄なやつ書いてよ、無駄なの。無駄なページがあっても面白いよね(ゲラゲラ)」何回無駄って言うんだろうこの人は。。。と思いながらも「いいっすよ(ヘラヘラ)」と返事をしたわけです。

 おまえの文章は無駄だと言われながらも期待されるというもて遊ばれ感満載でお送りします。

 とはいえここは「はれどく」です。全国から変な書店員が集まる場なのです、あ違う、素晴らしい書店員が集まる場(店長・成るなんとかって人は除く)なのですから、本の話をしましょう。無駄な本の紹介とかどうですか。あ、出版社さんに断っておきますが、いい意味で無駄ってことですよ。石は投げないでくださいね(「いい意味で」万能説)。

『愛しのインチキガチャガチャ大全――コスモスのすべて――』ワッキー貝山・集/池田浩明・著(双葉社)

 七十年代八十年代にちびっ子だった我々にはおなじみのコスモスですよ。20円とか50円で買えてた、子供だましガチャです。
 ロッテと全く同じロゴでよく見るとロッチだった、あのビックリマンシールのパチモノで有名ですね。カプセルに入っているから端っこが丸く反っていてシールを交換しようとしてもすぐにバレたあれです。匂いでわかるっていう友達もいましたけど。いや、裏を見ろよ。
 はやりモノは何でもカプセルに入れるという節操の無さ。なめ猫、キン消し、スライム、全部パチものでした。ダイキャストっていうんですか、あの銀色のやつでできた工具とか武器とか集めていましたよね。ね! 倒産直前には、カプセルの中にカプセルの半分を入れて売るという斬新さ。
 そんなコスモスの商品がフルラインナップじゃねえのって思うぐらい集められて、しかも写真はカラーで1800円税別って誰が買うんだよこんな本。いや、買いましたけどね。双葉社さん時々こんな変な本出してわらかしてくれます。大好きです。

 さて、無駄な話はこれぐらいにしときましょうか。それではこれからも《よろしくハレドック》


・・・いや、昔ジャンプでね、『よろしくメカドック』という漫画がね、、、え? だめ? これで締めたらだめ? 台本がある? その通りにやれ。ですか。あ、なるほど。

 さて、無駄な話をしてしまい申し訳ありませんでした。しかし、俺達の戦いはこれからだ!! ご愛読ありがとうござ

・・・ちょっとまって。一回止めて。これ打ち切りの時に使うやつでしょ。わかった、最初からやり直させて。

ガァ! どーも、あhi

【書店員・bibduck】



神様おねがいもう一度……
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「もしも生まれ変われるなら、絶世の美女になってアラブの大富豪から息子の嫁にぜひとこわれ…」てなことを以前どこかで書いた覚えがあるのだが、その頃よりも成長した私はそんな他力本願は捨てた。もう一度人生を生きるなら後世に名を残す人になりたい。ってことで平安時代に遡って女流作家として生きてみたい。冲方丁『はなとゆめ』(KADOKAWA)を読んで清少納言への憧れが強まった。学校の授業では『枕草子』を書いたのは、女性ながら漢学に秀で生真面目で神経質で愚痴っぽく執念深い女だと習ってきたが、そのイメージがこの一冊によって大きく変わる。主人である中宮定子のためにすべてをささげる、その真摯な人生。千年もの長きに渡って読み継がれる随筆をどういう時代背景のなかでどういう思いで描きつづけたのか。女としての幸せを捨てて主に仕える身の切なさ、そしてその人生の深さ……あぁ、無理だ。清少納言にはなれそうにない。ごめんなさい。反省してこれからは真摯に生きます。
 真摯に生きる、といえば究極の極限状態においてその生きる姿勢は問われる。山下貴光『ガレキノシタ』(実業之日本社)は生と死の間で露わになる人間の弱さと強さを見せてくれる。ある日突然校舎が崩壊し、そのガレキの下に閉じ込められた生徒と教師たち。彼らが絶望の中でもあきらめず、必死に生きる望みを持ち続けられたのは、一人の男子生徒、北野くんとのつながりだった。彼の言葉のひとつひとつが、私の心の中にも「望み」として突き刺さっている。もしもいつか私が絶望の中に取り残されたとしても、きっと北野くんの言葉を思い出してがんばれる、そんな気がする。そしてふと思う。私は女だけど、「3度の本気」はもう出したのかな。まだ、かな。まだこれからなのかな。
 藤谷治『世界でいちばん美しい』(小学館)は2013年のマイベスト本である。少々ぼんやりとしてはいるが、音楽に関して天才的才能を持つせった君のささやかで美しい人生と、その才能が故に引き起こされた悲劇。あぁ、私はもう絶世の美女にも後世に名を残す作家にも生まれ変わったりなんかしなくていい、だから神様せったくんをもう一度この世に生まれさせてください。お願いしますお願いします。

【精文館書店 中島新町店(愛知県)久田かおり】



「再生」を願う天使の歌声が大きな力となって結実する時
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『SLAM DUNK』といえば三井寿」の自分にとって、「再生」は漫画から小説、ノンフィクションまでいろいろな作品の名前が思い浮かぶテーマである。本来なら悩みに悩んでいくつかを厳選し紹介したいところだが、今回はあえてひとつに絞る。

『ANGEL VOICE』(秋田書店)という高校サッカー漫画がある。二〇〇七年に『週刊少年チャンピオン』で連載が始まり、現在単行本は37巻まで刊行。著者は古谷野孝雄。まだ続いている作品だが、物語は大詰めを迎えている。

未完の作品をおすすめするのは少しこわいところがある。最終回まで何が起こるかわからないので、そこまで見届けてからのほうがより安心なのは間違いない。しかし、それでもあえて推すのは、作品のなかに張られたひとつの伏線が、あまりにも見事に回収されたからである。この伏線にかけられた時間と物語の重み。これを、一人でも多くのひとに見てほしい。

荒廃したサッカー部と、中学時代「最強」と呼ばれた四人をはじめとする不良高校生たち。部の再生を託された新監督は、チームの柱として「最強」の四人を入部させるところから始める。しかし廃部推進派からは、県ベスト4入りできなければ廃部という条件を突きつけられてしまう……。
と大筋のストーリーを説明するとわりとよくある感じで、目新しいところはないように思われる。それでもこの漫画が読ませるものになっているのは、彼らがとにかくよく練習し、汗を流し、その結果少しずつ上達していくからだ。走るシーンの多さは、数あるサッカー漫画の中でも図抜けているのではないだろうか。心身のポテンシャルは高いとはいえ元々は基本的に素人揃いのチーム、その上達ぶりは高校サッカーの当事者が見たらリアルではないところもあるのかもしれない。しかし、リアリティは感じられる。それが、巻を追うごとに説得力を帯びてくるのだ。かつては大差で敗れた相手との差が、少しずつ詰まっていく。
そしてもうひとつ、忘れてはならないのがマネージャーの存在である。『ANGEL VOICE』というタイトルは、彼女の歌声に由来する。チームになくてはならないその声は、物語を動かす大きなカギとなる。

巻数の多さに少しひるむかもしれない。しかし、自信を持っておすすめできるスポーツ漫画だ。

【七五書店(愛知県)熊谷隆章】



生き直すための物語
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 ばあちゃんの葬式の間中、ハンカチの出し入れをするたびに、葬祭用の小さなハンドバックに無理やり押し込んだその文庫が目に入った。木原音瀬さんの『秘密』(講談社文庫)。葬式にBLを持ち込む私も大概だと思うが、天国のばあちゃんに誓って言えることは、これが『箱の中』に勝るとも劣らないBLの至宝たりえる面白さであったということだ(箱の中については、はれどくバックナンバー2号でご確認ください)。
 心も体もがんじがらめに束縛する恋人のDVから逃れるため、最愛の人を手にかけ、その遺体を冷凍庫へと隠し、安宿がわりの夜の相手を求めて彷徨っていた啓太は、徘徊先でふらりと立ち寄ったゲイバーで充と出会う。ある欠陥のせいで家族から疎まれて育った充と、殺人の罪悪感から悪夢に襲われ一人で眠ることが出来なくなった啓太は、求めあい、惹かれあい、互いを必要とする思いはやがてどうしようもないほどにもつれあってゆき、愛はやがて誠意という形を成そうとするのだが……。
 人間というのは 〝 変われる 〟 生き物だ。生きている人間が 〝 生まれ変わる 〟 ことは出来ないが、〝 生き直す 〟 ことは出来る。人間を形作っている薄皮は案外ぺろんと剥けるのだ。『秘密』で描かれるようにそのきっかけは人との出会いかもしれないし、もちろん本との出会いが人生観を変えることもある。
 私にとっては白石一文さんの『翼』(光文社)がまさにそれだ。主人が本当に自分の運命の人なのか。きっと死ぬ時までわからないと思っていたその答えがこの本の中にあった。
 理由あって人間界で暮らしたいと願う妖怪たちの手伝いをする境目屋の仕事を通して、人と妖怪の切なくも温かい交流を描くオイカワマコさんの『花鬼扉の境目屋さん』(徳間書店)も新しい門出の物語だ。新しい人生なんて、今この瞬間から、いくらでも、何度でも出来るのだ。
 此岸と彼岸を隔てるものをゆるやかで大きな愛情で包み込んで描く椰月美智子さんの『消えてなくなっても』(KADOKAWA)は装丁の可愛らしさや作中に登場する河童に萌え萌えしていると、足元をすくわれるのでご注意を!

 念のため書き添えておくと、さすがに葬儀中に本は開きませんでしたよ? ただ、いやらしいこと考えていると車に酔わないというのは本当で、帰りの長距離バスに全く酔わずに帰宅。ヘソに梅干しより車酔いにはBLが効く! お試しあれ。

【成田本店 みなと高台店(青森県)櫻井美怜】



一冊に絞れな~いっっ!! ということで再生的な三作品
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 今回の晴読雨読のテーマは「再生」か。
再生、さいせい、サイセイ……。!? どうしよう、う~ん、どれにしようかとても迷う……。
 そうだ! こういうときは編集長に相談しよう! SSさ~ん、お忙しいところすみませんが、ちょっと聞いてください。実は今回、三つ候補作があるのですが、どの作品を紹介したらいいと思いますか?

 まずはですね、いせひでこさん『チェロの木』(偕成社)という絵本で、悠久を生きた木が楽器となって、森を守る人(祖父)、楽器職人(父)、そして音楽家から子供へと伝える、「一つの命は繋がっている。大事なのはその時々の自分で、気持ちは変わっていってもいいんだよ。」という想いが、とても素敵な画とともに描かれている絵本なんです。

 そしてもう一つの絵本が、百万回生きて、百万回死んだ。百万回の別れを経験しながらも涙一つ流さなかった自分大好き猫が、ついに涙した時とは……。佐野洋子さん『100万回生きたねこ』(講談社)は、大人も子どもも楽しみながら想いを巡らすことができる物語だと思うんです。

 あとはコミックなんですが、これは『路地恋花』(講談社)という話で惚れこんでしまった麻生みことさんの作品でして。継いだ旅館の廃業を決めた寡黙で一流な中年料理人と、そこに転がり込んで仲居になったワケアリ娘(美人)。二人での格別なおもてなしを通して変化していく主人の心と、明らかになっていく娘の真意がこの先どう繋がっていくのかがとても気になる作品なんです。あ、タイトルは『海月と私』(講談社)っていうんですよ。

 このうちのどれを紹介したらいいと思いますかね? え? そりゃあもちろん三冊ともお勧めの作品です! って・・・あれ? 私は今回、一冊紹介でしたよね? (笑)

【七五書店(愛知県)森晴子】



誰でも変われる
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 はれどくのテーマがRe-bornに決まったとき、すぐに一冊の本が頭に浮かんできた。朝井リョウの『もういちど生まれる』(幻冬舎文庫)だ。思い浮かぶもなにも、テーマをそのまま直訳しただけのタイトルだし、あまりにも安直すぎるかもしれない。でもこれは本当に素晴らしい作品だから紹介しない訳にはいかない。もっとたくさんの人に知られるべき本だと思うから。
 この本に収録されているすべての作品がほんとうに美しい。言葉の選び方、心理描写、どれもがとても繊細で、読んでいると文章がすーっと心に染み入ってくる。どの作品もなんだかちょっと切ない。だがそこがいい。切ないけれど、これから先に光はある。そんな感じが伝わってくるのだ。

 Re-bornというテーマにぴったりなのは表題作だろう。主人公は二浪で予備校に通う梢。双子の姉、椿は高校時代、読者モデルをし、大学には推薦で入学した。梢は椿よりもすべての面で少し劣っている。でも双子である二人は、よく似ていたから、子供の頃はよく入れ替わったりして遊んでいた。とあることがきっかけで、十九歳の梢が椿になりきって、椿の彼に会いにいく。そこからラストにいたるまでのシーンでは、まさに生まれ変わったような爽快な気持ちが心に広がることだろう。
 個人的にオススメなのは「燃えるスカートのあの子」だ。主人公の翔多にものすごく共感した。といっても翔多はチャラいし、お調子者だし、友人の礼央から「一番大学生っぽかったから……」とか言われちゃうような、自分とはまったく似ても似つかないキャラなんだけども。でも彼の置かれている状況(椿のことが好きだけど、椿には彼氏がいる。その思いは心に秘めている。椿が彼氏と別れたと聞いて、チャンスだと思ったら、今度は友人である礼央と椿が付き合い始めたことに気づく)はよくわかる。似たような状況って、きっと誰もが一度は経験しているんじゃないかな? そんなときの感情の描写が、リズムのいい文章に乗って描かれるラストは必見である!

 どんなことがあっても、人はそれを乗り越えて、自ら動いていかなきゃいけない。だれでも生まれ変わった気持ちで再スタートできる。自分で変わる意志さえあれば。そんなことに気づく素敵な作品だ。

【丸善 丸の内本店(東京都)田中大輔】



連載 H店長の漫画三昧
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 子供が生まれてからというもの、育児漫画というものを結構読んできました。他者の子育てと自分の子育て、他者の子供と自分の子供との共通項や違いを見つけるという読書は楽しかったし、漫画そのものが面白ければなおのこと。いくつか面白いものがあるなかで、有名漫画家同士の夫婦、しかも両者が育児漫画を描いているという贅沢パターンをご紹介。
 四コマ漫画界の天才(そこまで四コマ界に詳しくないくせに名付けるけど間違いない)重野なおき先生の育児四コマ漫画『よんこまのこ』(竹書房)と、同じく四コマ漫画家藤島じゅん先生の『マママのお仕事』(ジャイブ)。もう一組は吉田戦車先生の『まんが親』(小学館)、エッセイコミックを多数書かれている伊藤理佐先生の『おかあさんの扉』(オレンジページ)
 二者二様というか四者四様というか(笑)。それぞれがそれぞれの視点でそれぞれの作風で自分の子供や自分の夫・妻や自分たちの育児を見つめている様がとても興味深くたのしく読めるので、ぜひぜひ読み比べてみていただきたいです。同じ出来事を男は大事件のように描き、女はさらりと描いていたり。育児中に必死にネタ探ししているのは全員共通事項で、もう職業病だな、と(笑)。そもそも漫画がちょー面白い四人ですから、純粋にギャグ(ちょっとほろり)漫画としても楽しめます。
 もうひとつは少しジャンルを変えて。産科を舞台に妊娠・出産にまつわるドラマを描き続けている今話題の医療系漫画、鈴ノ木ユウ『コウノドリ』(講談社)をご紹介。
 週刊モーニングで短期集中連載後、その反響の大きさで連載が始まった『コウノドリ』。2014年5月現在四巻まで刊行中。二巻に収録され、Webでも無料で読める「無脳症」シリーズは全四話。胎内に宿った待望の赤ちゃん、その子に下された診察は「無脳症」。選ぶ道は人工中絶しかなく、それでも簡単に諦めることは出来ない。自分の体に生きる、命だから。夫婦の葛藤、コウノトリ先生の無表情に隠された苦悩。そして。
『コウノドリ』の中でも傑作と謳われるこのシリーズに、印象深い言葉があります。「出産は病気ではない だから皆幸せなものだと思い込んでいる 多くの妊娠出産を見れば見るほど思う 出産は奇跡なんだ」。妊娠出産には悲劇があります。驚くほど身近に、思ってもいないほどの高確率で。僕にも。だからこそ、無事に生まれてくれて、産んでくれてありがとう。
 生まれてくる命とそれを育む人々に、1秒でも多くの幸せがありますように。

【三省堂書店 新横浜店(神奈川県)比嘉栄】
by haredoku | 2014-07-08 07:12 | 『はれどく vol.6』