全国の書店員による、おすすめ本のフリーペーパー「晴読雨読」通称"はれどく"の公式ブログです。


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はれどく・旅部 第一回座談会(後編)

『TRANSIT』2号の重版を望む!

安田
こうやって旅の話してると、雑誌の『TRANSIT』が開きたくなります!! 数冊しか持ってないけど……


酒井
『TRANSIT』は私の愛読書です! 2号以外は全部持ってます~。眺めては、行きたくなり……(笑)。


安田
2号って、版切れているアンデスの号ですよね。わたしもずっと古本市で探してます(笑)。


酒井
無いですよね……。


久田
『TRANSIT』のイタリア号、欲しいなぁ。

大島真寿美さんの『ピエタ』を読んでイタリア熱が再燃して。絶対ヴェネツィア行くんだ! ベネチアでゴンドラ乗りながらヴィヴァルディ聴くんだ! って心に決めた。そのために、イタリア語を勉強しよう! と思ったままで数年経ってるんだけどね(笑)。


酒井
ゴンドラはもしかしたらヴィヴァルディとか聴いてられないかも~、イタリア人おしゃべり好きですからね。しかも歌うし(笑)。

私はベネチアまで行きましたが、ゴンドラは値段が高すぎて乗れず、しかも一人だったのでさすがにちょっとやめときました。一人だとこういうアクティビティ(?)はしづらいのですよね。それは残念でした。


久田
イタリアに3年くらい滞在出来るなら塩野七生の『ローマ人の物語』をじっくりと読みたいな。ゴンドラに乗りながらだと酔うから……どこがいいかなー。やっぱ、コロッセオ?


酒井
コロッセオのまわりには本が読めそうな場所が沢山ありましたよ。しかも、文字通りもの凄い古い遺跡がごろごろしてました! そこで、『ローマ人の物語』凄くいいかも。


髙橋
イタリアに行った時は、『夫婦で行くイタリア歴史の街々』という本を読みました。素泊まりだったので、チーズワインお惣菜をスーパーで買って食べたりしましたが、安上がりで、しかもワインが美味しい! ので楽しめました。この本だとツアーで、個人旅行主体ではないですが、裏話とかは結構役に立ちます。


DISCOVER 日本の良いとこ! 漢字、禅、etc……

酒井
『TRANSIT』1号の中国を読んで、どうしても鳳凰という街に行きたくなり、ガイドブックにもほとんど乗ってなかったのですが、何とかなるさーと行ってみました。紙に漢字で行き先を書いたりして(笑)、結果ほんとに何とかなりまして、辿り着きました! 提灯が印象的で『千と千尋の神隠し』のような世界でした。そこで、面白かったことがありまして……。


久田
何とかなるさーって(笑)。


酒井
もう最後の日、バス停で長距離バスを待っていたんですね。で、待ち時間に谷崎潤一郎の『痴人の愛』を読んでいました。読まれた方は分かると思うんですけど、ちょっと大人な描写が多くて、谷崎特有の変態チックな本なんです。でも面白くて、中国の猥雑な雰囲気にも似合ってて、何だか繰り返し読んでいました。ハッと気がついたら7、8才くらいの子どもがわたしの肩ごしからのぞいていて、なんと本を朗読しはじめたんです。それも漢字しか読めないわけなので、漢字だけひろって中国語でっ!!! いやいや、漢字でも意味は伝わるかも! これは小学生にはちょっとキツイ内容だ! と、思って焦りましたが、どうやら覚えたての字が読めるのをお父さんに自慢したいみたいで……(笑)。学習意欲に燃えている子どもの気持ちを無碍にも出来んし~と、悩ましく思って隣を見たら、お父さんらしき人がにっこにこ笑ってて……。あーだいじょぶだ。意味わかってないわー。とひと安心したという。


安田
そういう交流いいですねぇ~♪


酒井
何だか無性に人懐こい子で鼻水だらだらたらしながらしなだれかかってくるので、いつわたしの服でふかれるのか、ってとこもドキドキでしたね~。でもミカンを半分くれて仲良く食べながらバスを待ったのは、忘れられないです。いい人たちでした。言葉は一つも通じませんでしたけど(笑)。


久田
今、『痴人の愛』を漢字だけ拾い読みしてみようと思ったのは私だけではあるまい。


酒井
『痴人の愛』の漢字を一部抜粋しますとですね……。尻、妖婦、馬鹿、脱、裸……などなどというものが並んでおりまする。


安田
わたしはヨーロッパ英語圏のどこだったかで、「Tatoo入れたいから、俺の漢字を教えてくれ」とジョンだかマイケルだかに話しかけられたことが。「私蹴(まいける)」とか、そういう適当なの教えた記憶がある。


久田
「私蹴」って書かれたTatooを想像して震える。


酒井
Tatooのほかにも漢字Tシャツって流行ってたじゃないですか。わたし、でっかく「岡山」って描かれてるTシャツを見つけて、またびみょーなところを選んだなぁってちょっと関心しました(笑)。


髙橋
前に聞いた話ですが、Tatooに漢字を入れるのは、日本人が梵字やフランス語英語の筆記体に格好よさをもとめるのと似たようなものらしいです。意味はわからなくとも、シンパシー感じるのと似てますかね。


酒井
アイルランドに1年いた時に、ほぼ英語の生活だったのですが、やっぱり日本語の豊かさって凄いなと思いました。微妙なニュアンスを伝えたくても、なかなか同じようには伝わらないですね、英語だと。もちろん私の語学力不足は多分にあるんですけど、日本語ってやっぱり繊細で美しいなぁと思います。


髙橋
日本語は、相手を思いやって発する言葉が多い気がします。直接的でないと言うか。柔らかいですよね。それが、海外からはハッキリしない! ってなるのかも知れないですが。


酒井
ほんとそうですね。本も英語の本しか一時期手に入らなくて、「勉強のため」と思って読んでいましたが、やっぱり日本語のほうが繊細なように感じて(母国語だから当たり前かも知れませんが)、日本の本が手に入った時は泣きそうなほど嬉しかったです。


久田
ちょっと前に会った人の話なんだけど。

とある修行でフランスに住んでた時に鈴木大拙の『禅』を繰り返し読み返していたと。洗礼も受けたクリスチャンの方なんだけど、日本にいた時には全く興味のなかった禅についてフランスで興味がわく、っていうところに、何て言うか、ディスカバージャパン?

その人が、言ってたのは、外国で日本について聞かれた時に自分が何も答えられなかったことに愕然とした、って。


酒井
海外で日本のことを何も知らなくて恥ずかしい思いをしたってのはありますね~。留学する時、語学よりもむしろ日本のことを勉強して行ったほうがいいとすら思います。外国人は自国の政治から経済、文化、音楽、宗教、絵画……そういうものまで幅広くよく知っています。で、知ってることが当たり前ですね。その前提で話が進んで行くので、会話についていけないとちょっとツライかも知れません。


安田
わたしも子供のころ一時期海外にいたのですが、なんせ子供なんで日本の歴史や芸術や情勢なんて分からなかったけど、「日本人の代表だ」という意識だけあって。滞在でも旅行でも、わたしが何かしでかしたら「わたしがやった」んじゃなくて「日本人がやった」になる面が必ずあるんですよね。

日本人は比較的好意的に受け止められていて。フランスの空港で国籍を尋ねられて「日本人です」って答えたら、本来並ばなきゃいけないめっちゃ並んでるゲートじゃなくて、EUからの人限定のがら空きのとこ通してくれたり。悪いことしないって信頼が日本人にはあって、そう思われている日本人なのが誇らしかったです。

で、何を言いたいかというと。

何かにつけて「外国はこうなのに、日本は……」みたいな風潮が多いけど、日本独特のものがあったっていいじゃない、と思うわけです。面倒臭い慣習だって、ハッキリ言わないという伝統だって、本屋のカバーに書店カバーつけて袋に入れる、という過剰包装だって、悪いことばっかりじゃないし。本を大事にしてるってことだし、本屋さんのカバーを集めるという楽しみも生み出してるわけだし(笑)。


久田
そうそう。日本にもいいところ沢山あるんだよなー。

それで思い出したんだけど、京大卒コンビ、森見登美彦の『四畳半神話体系』と、万城目学の『鴨川ホルモー』が凄く好きで、去年、四畳半の舞台となってる吉田寮に行ってみた。もう、はんぱないほど、衝撃的だったね。


安田
四畳半の舞台の寮って見せてもらえるんですか!


久田
とても、ヒトが住むような場所とは思えない(笑)。部屋までは見せて貰えなかったけどホールみたいなところは想像以上で多分あれは夜になると魑魅魍魎の類いが跋扈してるね、まちがいなく。ここであの妄想が培われたのかと、ぞわぞわとした一種の感動みたいなものに包まれたなぁ。


安田
わたしは何年か前に道後温泉に行った時、松山空港の本屋さんで『坊っちゃん』買って、温泉滞在中読んでたことはありました。ちゃんと読んだことなかったんで、小説をその舞台で味わうってことをしてみたくて。


久田
『坊っちゃん』は逆に本を読んでから、どうしてもあの温泉に入りたくて行った!


安田
国内の旅と言えば、コミックエッセイ『山登りはじめました』はそれを読んで登ったりもしました~♪ 元々山登りは行っていたものの、読んでみたら「あら同じ山登ってる」ってなって。「そしたら、書いてあるこの山もわたし行けるかもー」と。あの本で山登りに行き出した女子も多いのでは。




みんなお腹を壊して大きくなった(?)

髙橋
私、相方とはじめて二人で海外行ったのが、中国の杭州というところで。黄山という世界遺産の山に登ったんです。普通の天候なら、なんともない山が風はひどく霧もひどく、それでも登って。ミッキーキャップは、谷底に落ち、細い道ではすべり、本気で死ぬかと思ったんですが……。

やっすーは海外の山は登るの?


安田
一度マチュピチュのワイナピチュという山に登ろうと思ったんだけど、前夜に大雨が降ったのでガイドさんに止められて泣く泣く断念。あそこはいつかリベンジしたいなあ。小手鞠るいさんの『空中都市』は、こんなにマチュピチュの描写細かくていいの? って思った小説。


酒井
マチュピチュと言えば、わたしの知り合いに75歳をすぎても一人でマチュピチュとか行っちゃう人がいて、ほんとに尊敬なんです! 旅で大事なのはタフさですよね。年をとっても旅を続けられるかはそこかも知れません。わたしも今から鍛えねばーとは思っているんですけどね。なんせぐーたらなもので(笑)。


安田
旅行先でなに食べてもお腹壊さない、とかのタフさは欲しいです・・・(壊したことないけど、壊しそうで食べるのをためらう時が)。ギリギリの日程が多いので(5連休なら5泊6日で朝帰りして遅番出勤とか)、お腹壊すとそのあとの予定が変わって最悪帰れないかも! と心配になっちゃうんですよねー。


髙橋
う~お腹私弱いよ。バリ島に行った時食べた何とかっていう魚がどうにかなっていて、日本帰ってひどい目にあった。何にも食べられなくなったなぁ。魚はよく焼きましょう。


酒井
お腹はわたしは屋台とかでもどんどん食べる派なので、当然こわしますねー。こわしてても食べてます。まぁ、死ぬってことはないだろう、と(笑)。


安田
みんな、旅ではお腹壊すのね……(笑)。


髙橋
日本がそれだけ清潔で衛生面でしっかりしているということなんだなぁと有難いなと実感しますよね。


久田
旅先でお腹を壊す話といえば一連のこれを忘れちゃなるまいて。

さくら剛『アフリカなんて二度と行くか! ボケ!! でも、愛してる(涙)。』『インドなんて二度と行くか! ボケ!! でもまた行きたいかも』。とにかく旅の間中お腹を壊したりお腹を壊したりお腹を壊したりw。

これね、紀行モノって言っていいかどうか分からないけど、ただ一つ言えるのは、これを読むと彼が訪れた国には行きたくなくなる、ってこと。わはは。


髙橋
『インドなんて~』は何か装丁からして笑えるし、読むと本当に裏切らない! でも、さすがに同じようには出来ないなぁ。まじで無条件に面白いって思いましたね。


旅先で覗く本屋の魅力

久田
ところで、国内だと旅先で本屋に寄る、というのは定番だと思うけど(笑)、海外でも本屋さんを見かけたらつい寄っちゃう?


髙橋
旅程に入れたりはしませんが、通り道にあると寄ります。

全ての本にカバーがついているのは、私は日本でしか見たことがありません。どの国もさらけだされているし、シュリンクもありません。児童書や芸術書は別ですが。『NARUTO』や『ONE PIECE』といった漫画も、ちょうどカバーを取ったような形で置いてあって。


酒井
わたしも現地の本屋さんに行って、手持ちの本と物々交換してもらったりします。海外の古本屋はそれが気軽に出来ていいです。


久田
って、物々交換するの? 本を?


酒井
物々交換します。出来ます。大体どこでも古本屋さんは出来る気がします。しかもどれだけボロボロでも余り気にされないので、気楽でいいですよ。日本語の本はちょっと少ないですけど。


久田
オーストラリアのメルボルンで友達とふらふら歩いてたら、古くて小さな本屋を見つけて。中に入ったら中世のヨーロッパにタイムスリップしたみたいで。や、中世のヨーロッパの本屋なんて行ったことないんだけどね。とにかく映画に出てくるようなセピア色の店内で思わず深呼吸しちゃった。


酒井
うわ~、見たい! 外国の本屋さんてなんかむちゃくちゃ雰囲気あるところありますよね。あの、『ノッティングヒルの恋人』の本屋さんとか憧れました。でも、実際行ってみたら凄く今風のおしゃれな本屋さんになってて、ちょっとイメージ違いましたけど。


髙橋
素敵な本屋さんには旅先で出会ったことが無いので、最近出た大判の世界の本屋さんが載ってる本チェックしよう。エクスナレッジだったかな。


酒井
『世界で最も美しい書店』ですね。わたしもこれ欲しいんですよね~! 見てるだけでも幸せになれそう。


安田
わたしこの本パラパラ見てたお客さんに「紀伊國屋載ってねぇじゃねぇか。ハッ」って鼻で笑われて以来トラウマな本(笑)。


酒井
本屋さんではなくて図書館なのですが、アイルランド、ダブリンにあるトリニティカレッジの図書館が忘れられないです。『ケルズの書』という世界で一番美しい本と言われている、聖書の写本があるのですが、図書館そのものもため息がでるほど美しくて、一日いられるなぁと思いました。入った瞬間、古い(本当に古いものでは8世紀のものとか!)紙の匂いがうわーっとして圧倒されました。


久田
図書館もいいねぇ。地元に根差した資料なんかも揃ってそうで。


酒井
それにしても、沢山本が出ますね! まだまだ忘れてるのがありそうなんだな~。


安田
それだけ旅は、本にして(言葉にして)伝えたいことがいっぱいあるってことですね~♪

今日『旅ノート・散歩ノートのつくりかた』って本見つけまして。3月に出ていたようでノーマークだったんですが、旅先での切符やスタンプ、お店の名刺、拾った葉っぱなど、そしてもちろん写真もまるごと使って記念ノートを作るある意味実用書。


久田
おお!それは楽しそう! ちょっとチェックしてみるみる!


安田
自己流で近いものは作ったこともあるんだけれど、旅は帰ってきてから振り返るのも楽しいものだから、旅ノートを作るというところまでを旅だとすれば、行く前のワクワク感も帰ってきてからの余韻も数倍楽しいものになりそうです♪


久田
今回みんなの旅の話を聞いてて、あぁ、あそこ行きたい! ここにも行きたい! って野望と妄想が膨れ上がって楽しかった。それと、今までの自分の旅もあれこれ思い出して懐かしかったり。今度実家に帰ったらアルバム引っ張り出してみよう! みたいな。


髙橋
海外に目を向け、日本と向き合ったりして、視野を広く持っていられたらいいなと思っています。今回はありがとうございました。私は英会話力を身につけることが目標かな。いつも挫折するんですが(笑)。


久田
とりあえず、アタクシの目標は「一人旅」だな。


安田
「たくさん色んなところに行ってみて、一番どこが好き?」って聞かれたことがあるのですが、やっぱり今住んでいるところかなーと思いました。戻るところがあるからこそ行く、と言うか。移住したくなるほど好きなところは何ヵ所かあるけど(笑)。


久田
一番好きな場所が今住んでるところ、ってのはある意味すんごく幸せなことなのかもね、って思うよ。いつでも安心して帰ってこられる場所があるからどこにでも行ける、ってことだもんね。


酒井
私も、ほんとうに旅心をかきたてられて、楽しくも苦しせつない座談会でした(笑)! そして、読みたい本が今すっごーく増えました(笑)! どれから読めばいいでしょうか……。『深夜特急』に、さくらさんのシリーズに、角田さんの迷子に……。


久田
同時多発的にw


酒井
いやー……、お金が……無いす(涙)。


安田
……時間も無いす……(号泣)。

とか言いつつ『一生に一度は泊まってみたい奇想天外ホテル』(http://bit.ly/1324pSU )買っちゃいました。いつか行く!


酒井
あー! これ面白いですよね~。わたしも地図ガイド担当の子と盛り上がりました。いいなー!


安田
は! わたしのパスポート切れてた……! まさかの展開……。20年以上パスポート切らしたことなかったのになあ……ぐぬぬ……。


酒井
ならば、取り敢えず次は国内で。この4人で京都なんてどうでしょう?


安田
森見さんの本持って。わたしは恵文社一乗寺店さんが、店全体、空気から置いている本から立地も含めてまるっと好きです。


髙橋
恵文社行きたい! 京都かぁ。いつ以来かなぁ。実現するといいな。あと、何とかコーヒーという有名なとこ行きたい!


久田
じゃ、4人で行く時は不肖アタクシびみょーな関西人がご案内つかまつりましよう。


酒井髙橋安田
久田さんが……案内……してくれはるんですか……。


久田
ええ、どこになにがあるかは、皆さんで調べてくださいね(笑)。
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by haredoku | 2013-06-14 20:19 | はれどく 旅部