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『はれどく』5号 テーマその1【旅立ち】

『はれどく』5号!



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明日へ!

 学校という囲いから社会へ飛び出すと、あんなに不自由だとばかり思っていた場所がいかに自分を守ってくれていたのか若人が思い知る春がやってきた。そんな季節にふさわしすぎる一冊が古内一絵『風の向こうへ駆け抜けろ』(小学館)。競馬学校を卒業し意気揚揚と地方競馬場へ乗り込む主人公。経済的に困窮している地方の現実。女であることで生まれる屈辱的な軋轢。バラバラだった厩舎がやがてひとつの夢へと向かう様は読んでいて最高に気持ち良く、まだ年初だというのにすでに今年のベスト3は固い面白さ。
「旅立つ」というのはなにも学校を卒業したりすることばかりではない。今生とお別れをし、「あの世」へと向かうことも「旅立ち」と呼べるのではないか。人が死ぬ理由は様々だが、自分で死を選ぶ自死について、自身の母親がダイナマイト心中をしたという衝撃的な過去を持つ伝説の編集者、末井昭さんが綴る『自殺』(朝日出版社)がとんでもなく素晴らしい。明日も生きたほうがいい。多分。
【成田本店 みなと高台店(青森県)櫻井美怜】

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道は果てしなく!

「僕らは路上で生まれ、路上で育った。僕らは路上の子供である。」記憶が曖昧だから、文章は少し違うかもしれない。ファッション雑誌の『KEROUAC(ケラ)』(インデックス・コミュニケーションズ)の創刊号に書かれていた言葉だ。奇抜な格好を好み、原宿に繰り出しては、路上で何者かになりたい! と思っていた若き日の私には、この言葉が啓示のように思えた。すぐにケルアックの『オン・ザ・ロード(路上)』(青山南 訳/河出文庫)を買い、むさぼるように読んだ。トランクに洋服を詰め込み、車でアメリカを縦横無尽に旅するサルとディーン。彼らの破天荒な旅路と、魅力的な友人との会話。物語に出てくるもの全てに心が踊った。なにより文章のリズムが心地よい。ケルアックはリズムが途切れるのを嫌って、この作品をロール紙に改行することもなく、一気に書いたと言われている。ビートに身を任せて、音楽を聞くように、この小説を何度も何度も読んだ。きっとこれからも読みつづけるだろう。オン・ザ・ロード。道はどこまでも続く。
【丸善 丸の内本店(東京都)田中大輔】

『ラテに感謝』マイケル・ゲイツ・ギル 月沢李歌子/訳 ダイヤモンド社
リストラされスターバックスの店員として人生をやり直したエリート広告マン。失敗を重ねながらもバリスタとして成長した彼が選んだ新たな道とは。旅立つ決意をした彼の姿から前へ進む勇気をもらえます。
【蔦屋書店 イオンモール幕張新都心(千葉県)後藤美由紀】

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非モテな諸君に捧ぐ!

 旅立ちの本とは、読んだ後に一歩を踏み出す気持ちにさせてくれる本だ。そこで僕はモテない非モテな諸君にジュノ・ディアズ『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(都甲幸治・久保尚美 訳/新潮社)を贈りたい。
 ドミニカからの移民である主人公オスカーはゲームやSFが大好きなオタク。親友のユニオール曰く、「ジェダイがライトセイバーを持っているように、レンズマンがレンズを身につけているように、やつはオタクっぽさをまとっていた」というくらいに真性のオタク。
 普通はそこで二次元でいいやと開き直るのが定説だが、彼は違う。三次元の女子にアタックしまくるのだ。玉砕するけど。
 祖国ドミニカでの苛烈な独裁体制の犠牲になった祖父、異国アメリカに渡った母、逃げるように家を出た姉、オスカーを取り巻く一族の歴史と祖国ドミニカの呪縛。それらがオスカーに収斂するラストには唯唯打震えるのみ。一歩を踏み出す僕らのハードルはオスカーに比べれば無いのと同然だ。
【進駸堂 中久喜本店(栃木県)/鈴木毅】

『青春夜明け前』重松清 講談社文庫
『男子』という生き物はしょうもない生き物だ。アホでスケベで短絡的で。大人の男に憧れてたそんな男子諸君は、大人になった時男子であった頃を懐かしく思う。本音で生きてた黄金時代を。
【TSUTAYA枚方駅前本店(大阪府)鈴木正太郎】

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センス・オブ・ワンダーの旅で度肝を抜かれろ!

 せっかく旅立つなら、誰も見たことがないような世界に行ってみたい。いや、世界では狭いな。宇宙だ。ただの宇宙旅行じゃないぞ、とんでもないことになる旅行なのだ。
 ポール・アンダースン『タウ・ゼロ』(浅倉久志 訳/創元SF文庫)。人類移住を目指し32光年先のおとめ座ベータ星に向かう科学者たち。しかし宇宙船が減速できなくなり、どんどん加速し続けることに……限りなく光速に近いスピードで進む宇宙船の運命は? 彼らはどこまで行ってしまうのか? いやあ、スケールでかいよ。
 ロバート・J・ソウヤー『ゴールデン・フリース』(内田昌之 訳/ハヤカワ文庫)。こちらも移住先の惑星を目指す宇宙船が舞台。その宇宙船内で女性科学者が殺される。犯人は宇宙船の心臓部でもあるコンピュータ「イアソン」。その疑惑に気付いた被害者の元夫が突き止めた真相とは? 驚愕の真相に度肝を抜かれるはずだ。
 奇想と衝撃に満ちた2作品。行って……みたくはないな!
【啓文社 コア福山西店(広島県)三島政幸】

『新幹線のたび』コマヤスカン 講談社
新青森から鹿児島中央まで、日本縦断の新幹線の旅。ウォーリーのような細かい日本俯瞰図には、松島に松尾芭蕉がいたり高尾山に天狗がいたりと、眺めるほどに楽しい時間が詰まっています。絵本を子供だけのものにしとくなんてもったいない!
【紀伊國屋書店 横浜みなとみらい店(神奈川県)安田有希】

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旅立ってこそ見えてくること

 18の春は旅立ちにふさわしい。まずは増田俊也『七帝柔道記』(KADOKAWA)。まぁ、彼は二浪してるんで正確には「20歳の旅立ち」なのだけど。名古屋の超エリート高校を卒業した増田くんは七帝大のみで行われている柔道をするためだけに北大に進学。寝技中心のこの柔道は待ったなし場外なしの一本勝ちのみ。落ちる(失神する)か相手の腕を折らなければ勝てない鬼のような柔道を極めるために彼はたくさんのものから「旅立」つ。ひたすら文字通り命をかけて過ごした4年間の物語を読んで胸が熱くならないわけがない。
 進学で故郷を「旅立」ちそのまま東京で就職した青年の物語、といえばあの世界の村上春樹が描いた長いタイトルの小説があるが、飛鳥井千砂『チョコレートの町』(双葉文庫)はつくるくんの物語とは全く違うとてもとても名古屋が好きになる物語である。名古屋の土着性を嫌って「旅立」った早瀬くんが赴任先の故郷で出会う「名古屋的な人たち」を通じて大嫌いだった故郷を見つめなおしていく。誰もがある時期感じる「身近なものへの嫌悪」。そこから旅立った時にしか見えない本当の意味での故郷ってのがある。
【精文館書店 中島新町店(愛知県)久田かおり】

『少女は卒業しない』朝井リョウ 集英社
旅立つにためにはきちんと卒業してからじゃないとね。前を向くためのピリオド。せつない「さよなら」のあとにはきっと新しい世界が待っているはずだから。旅立ちへのエールを込めて、「卒業おめでとう」を言いたい。
【紀伊國屋書店 横浜店(神奈川県)川俣めぐみ】

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旅立ちは、いつも少し切ない

 宇宙を目指す物語には名作が多い。アニメ化・ドラマ化された、柳沼行『ふたつのスピカ』(メディアファクトリー)もそのひとつといっていいだろう。
 主人公は宇宙飛行士を目指す少女・鴨川アスミ。物語は、彼女が宇宙飛行士を育成するコースがある高校に入学し、仲間たちと同じ夢を目指して苦楽をともにする日々を主軸にして進む。その傍らには、数年前のロケット事故で傷を抱えた大人たちの物語がある。夢を追う者、諦めた者、断たれた者。
 時間を重ね、出会いや別れ、さまざまな経験を積み、少年少女たちは卒業という節目を迎えてそれぞれの道を進む。それを見守ってきた大人たちもまた、ふたたび挑戦に転じる。新しい門出。
 ライオンの被りものをした幽霊「ライオンさん」との出会いによって、アスミは宇宙飛行士になることを誓った。ふたりの絆は、『ふたつのスピカ』というタイトルとそのまま重なる。やわらかな線で叙情的に描かれた、夢と友情にあふれる青春と、ほろ苦い再生のドラマ。スピカは、これからも支え合って輝き続ける。
【七五書店(愛知県)熊谷隆章】

『明日この手を放しても』桂望実 新潮文庫
きっと人は、誰かと繋がり信頼しあうことで、旅立つ力を手に入れるのだ。母を亡くし、父が失踪した兄妹。仕事や共に過ごす日々を通じて少しずつ確かな絆を培っていく物語は、静かな勇気を与えてくれる。
【紀伊國屋書店 富山店(富山県)野坂美帆】

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嘘みたいだけど連載第1周年!
 店長・成川真の〝右往左往〟

【ブックポート203大和店(神奈川県)/成川真】

 春は出会いと別れ、愛しさと切なさと心強さの季節です。
 書店で勤務していても、毎年のように来るものあり、去りゆくものあり。やはりその中でも学生アルバイトさんは出入りが激しかったりするのですが、大学の4年間を勤め上げてくれたアルバイトさんには深い感慨を覚えることがあります。
 なにせ4年間といえば、日本人の平均年齢が80歳くらいとしても、人生の20分の1を過ごしてくれたということ。え? たいしたことない? いや、20分の1って、けっこうなもんですよ。ひょんなことで走馬灯が走ることになったら、一瞬くらいはよぎることまちがいなしです。
 さらにいえば、デキなかった少年がデキる青年へと変わり、社会に羽ばたいていくことになった時の感慨といえば、ちょっと言葉にはできません。
 偉そうに聞こえてしまったらごめんなさい、人生で何百人もの面接をしていると、面接官の目線というのが身についてきたりします。アルバイト面接なので当たり前ですが、「アルバイトとして採用したけど、社員だったら無理だな」と思わせる学生はわりとたくさん。
 そうなると、「就職できるかな~?」という不安に駆られる。なので、ボクははっきりと最初の方で「このままで4年間過ごしたら就職できないよ」と告げ、成長してもらうことに心血を注ぎます。
 この場合、むしろできない学生の子ほど…………燃えるっ!
 実は「こりゃあかん……」と思っていて、ひとつひとつ課題を与えていた学生がいまして。昔にいた店舗のことなのですが。その子が二年生の頃に自分が異動になってしまい、中途半端な状態でお別れすることになってしまいました。
 その学生の子、ボクがいなくなっても努力していたようで、見事就職を果たしてこの春にアルバイト卒業ということになりました。その報を最初に聞いたとき、泣きたいくらいに嬉しくなりまして。最後の方は後輩アルバイトに仕事を教える頼もしい存在になっていたとのこと。
 人はちゃんと変われるし、成長できるものなんだな~、って思います。

 さて、ちょうど一年前にあの道を通ったときに立ち寄った本屋で晴読雨読を手にしていただいたみなさま。まさかまさかの連載一周年でございます。毎度ばかばかしいコラムに、あきれることなくつきあっていただき、感謝の言葉もございません。でもいっておきます。ありがとうございます!
ここで第一回を読んでくださったみなさまにご報告ですが、この一年の間にもボクの勤めるお店から何人ものスタッフが去っていきました。
 「店長……最後だからいうけど、あんたぁ、すげえよ。セリエAの得点王になった時、あんたのおかげだってオレぁいいますよ!」
 「店長……お店にいる間は恥ずかしくていえなかったけど、これ、私のアドレスです。メール……寝ないで待ってますから……(ポッ)」
 ということは、残っ念ながらまだありません。まだ!

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願わくば人生いつも旅立ち

「旅立ち」といえば〝 人生の旅立ち 〟という意味なのだろうけど、自分にとってのそれがいつだったのかちっとも思いつかない。まだまだそれは来ていないのか、いやそんなはずは、、、もういい大人ですことよと自問自答してもおすすめしたい本が浮かばないどころか、逆におすすめされたいくらいの若輩ものなのでした。
 なので自分は自分らしく、読むと今すぐスーツケースをひっつかんで旅立ちたくなる本をご紹介。
 まずは、パウロ・コエーリョ『アルケミスト』(山川紘矢・山川亜希子 訳/角川文庫)。私にとっての旅立ちの本といえばこれ。シンプルなことばが旅に出る前の自分をフラットにしてくれます。
 そして、アントニオ・タブッキ『供述によるとペレイラは』(須賀敦子 訳/白水Uブックス)すべてのタブッキ作品に共通しているのだけど、でてくるポルトガル料理が本当にうまそう。すぐに食べにいきたくなる。
 それから講談社から隔月で刊行されている雑誌『TRANSIT』のすべて。どれを読んでも毎回その国に行きたくなる。ガイドブックには載っていない場所や珍スポットの紹介も楽しい。
 て書いていたらまたまた出かけたくなってしまった。そのうち旅行に行きたい病で死ぬかもしれないと思っている一書店員です。
【丸善 津田沼店(千葉県)酒井七海】

『新たなる道へ』ベルンハルト・M.シュミッド PIE International
まっすぐな道、曲がりくねった道、上り坂、下り坂、木漏れ日の道、荒野の道。世界中のいろんな道が「歩いてごらん」と呼んでいます。本書のページをめくって、旅に出たくならない人がいるだろうか(いや、いない)。
【丸善 津田沼店(千葉県)沢田史郎】
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by haredoku | 2014-04-16 11:37 | 『はれどく vol.5』 | Comments(0)

『はれどく』5号 テーマその2【オールタイムベスト】

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生きざま、死にざま

ロック本オールタイムベスト
 ラモーンズというバンドをご存じだろうか? 伊坂幸太郎『砂漠』(新潮文庫)や越谷オサム『階段途中のビッグ・ノイズ』(幻冬舎文庫)などに出てくるので名前ぐらいは知っている人もいるかと思う。
 Yuki Kuroyanagi『I Love RAMONES』(リトルモア)は熱狂的なラモーンズファンの著者がバンドのリーダー、ジョニー・ラモーンにファンレターを送ったことがきっかけで手紙のやり取りをするようになり、その後兄妹のように親密な関係になったから知る事ができたラモーンズの全てが綴られた作品です。
 いくつかの奇跡的な出来事によって著者とジョニーが親密な関係になっていく件や、彼らの代表曲の一つ『KKK』に纏わるエピソードなど興味深い話が多い中で2004年に亡くなったジョニーの最期、兄妹のような関係にあってもアーティストとファンという関係を最後まで貫いた著者に胸が熱くなります。
 全編通してラモーンズ対する愛に溢れた本書はロックを愛する全ての人に読んでいただきたいと思える私的ロック本オールタイムベストです。
【堀江良文堂書店 松戸店(千葉県)髙坂浩一】

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読み返す度に新しい!

オールタイムベスト。まもなく織田信長の享年に並ばんとする歳月の中で僕のベストを選ぶとするならばこの川上健一『ラストボール伝説』(恒文社)を選ぶ。長らく絶版状態だった『監督と野郎ども』がタイトルも変わって再刊行されて早11年。これこそが「野球をもっと好きになれる作品」だと今でも信じているので文庫化を切に願っています。そもそものきっかけは今から28年前の少年マガジンに掲載された読切マンガ「ダイビングキャッチ/さだやす圭」を読んだ時に始まる。わずか数十ページの作品を何度も何度も読み返した頃、原作本の存在を知り近所の店を探し歩いてようやく辿り着いたのが今自分が働いているこの店。そんな1冊との出会いを僕も演出して……あ、内容はですね、万年最下位の弱小球団札幌ベアーズに伝説の名将が招かれる。敗北が染みついた選手を使いチームはあれよあれよの快進撃……よくある展開? 違うよ! これがオリジナルなんだよ! 熱くなって、涙して、スカッとする野球小説です!
【サクラ書店 平塚ラスカ店(神奈川県)栁下博幸】

『雪国』川端康成 新潮文庫
「どんな満月の空よりも」明るい天の河が「大地を抱こうとしておりて来る」。全編にわたる静けさに加え、クライマックスはなまめかしい満天の星夜。頭の中にプラネタリウムが広がります。星空を描いた小説のベスト1!
【明林堂書店 大分本店(大分県)前畑文隆】

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人が人を想うということ

史上もっともクールで美しい女性刑事 キャシー・マロリー
 マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『刑事マルティン・ベック 笑う警官』(柳沢由実子 訳/角川文庫)を読まずに「警察小説好き」を公言するのは、かなりいただけない。同様に、キャロル・オコンネルが創造したミステリー史上もっともクールで美しい刑事――キャシー・マロリーを知らずに女性刑事ものを語るべきではない。ニューヨーク市警重大犯罪課所属の巡査部長にして、完璧な美貌と天才的ハッキング能力を備え、冷酷に悪党を追い詰める感情を欠いた<氷の天使>――などと書くと、現実離れした異能刑事ものかと鼻白む向きもあるかもしれない。だが、違うのだ。ハードボイルドの香気とノワールの陰、そこに巧緻な本格ミステリーの要素を加え、さらに怒涛のクライマックスを経て男泣きのヒーロー小説として結実する根底には、「人は愛する者のために、どれだけのことができるのか」という切実なテーマが込められている。二月には新作『陪審員に死を』が発売された。ぜひこの機会に、第一作『氷の天使』(シリーズすべて務台夏子 訳/創元推理文庫)からお試しいただきたい!
【ときわ書房 本店(千葉県)宇田川拓也】

『これからの誕生日』穂高明 双葉文庫
「春になると読み返さずにいられない」オールタイムベスト大切な人たちを失ってそれでもなお生きていく。励ましの言葉がなまくらな刃物のように身をさいなむこともある。言葉は怖い。でも、それにすがって生きるしかない。これは私の、あなたの物語だ。
【紀伊國屋書店 グランフロント大阪店(大阪府)星真一】

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子どもの子どものそのまた子どもの代まで伝えたい!

「とけいがなります、ぼーん、ぼーん、ぼーん」 久しぶりに語りだしてみたら、我が家の中学生から「怖いからやめて!」と。あらヤダ、まだ効き目があるのね。『いやだいやだの絵本』シリーズの一冊せなけいこ『ねないこだれだ』(福音館書店) なかなか寝付かない幼い兄妹に、いたずら心から感情をタップリ込めて読み聞かせ「寝ない子はいるかな? 押入れに何かいるかな?」と襖に手をかけると、慌てて布団に潜り込み「起きてないよ!」と。懐かしい思い出です。怖いくせに何度も読みたがるのは、何よりも子ども心を惹きつける素敵な作品だからでしょう。いつか彼女たちが幼子に読みきかせてくれたら嬉しいです。
 芝居がかった本読みができるのは、演劇部にいたおかげか、読み耽った美内すずえ『ガラスの仮面』(白泉社 花とゆめコミックス)のおかげか。連載開始から38年、今だに続くまだまだ楽しませてくれる作品です。あの頃、とある男子高(現在は共学)の演劇部々室に「バイブル」として置いてあったけれど、今も残ってるかな?
【七五書店(愛知県)森晴子】

『優しい子よ』大崎善生 ポプラ社
魂を揺さぶられた一冊。優しくて儚くて思わず抱きしめたくなる宝物。この先も、人を信じることを臆病に感じるたび、何度も読み返し、心の支えとなってくれる子です。あなたを生涯大切にしたい。
【山下書店 南行徳店(千葉県)髙橋佐和子】

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載第三回 店長・Hの漫画三昧
【三省堂書店新横浜店(神奈川県)/比嘉栄】

 答えに詰まる質問のひとつに「あなたが一番好きなコミックはなんですか?」ってのがあります。えー? 一番? 一番かぁ。むしろ僕が質問したいのですが、皆さんはどういう定義で答えてるものなんですかこれ? すらすらと即答できる方を本当に羨ましいと思ってますし、こういう質問を受けた時の自分の瞬発力の無さにはマジで自信あります。「えー? 一番ですか? 一番かー。難しいですねその質問(笑)。うーん、一番かぁ。そうだなぁ……いろいろありますよねー。一番かー……」って壊れたラジカセのようにリフレインしまくったことが過去ありますって思い出しちゃったよ恥ずかしい。最近、小説の紹介でインタビューを受ける機会がありまして。自己紹介用に「好きな本」をひとつあげる、というのを知って冷や汗かいたんですけどもそれは事前に分かっていたのでなんとかしました。なにを挙げたか? ふるたたるひ・たばたせいいち『おしいれのぼうけん』(童心社)。いやー、児童書界の傑作ですよね。子供のころ、誰かに読んでもらうのではなく自分で字が読めるようになって繰り返し繰り返し読んでいたのがこの作品でした。幼稚園時代の自分にとってねずみばあさんはめっちゃ怖かったはずなんだけども、押入れから異世界へと旅立っていくあの冒険譚が、ファンタジーが大好きな自分の根幹を作り上げたんだと今でも(勝手に)(後付けで)(こういう説明するとなんとなく説得力が増す)信じています。
 さて。今回のはれどくテーマを見たときの僕の反応がすでにお分かりでしょうか? 連載スペースの半分を費やしてまで「あなたのオールタイムベストコミックは?」の回答を先延ばしして『おしいれのぼうけん』語っちゃったりなんかしているこの僕の反応を? 他の方の原稿を先にこっそり見せていただきたいくらいだなぁ。ねぇ? まあ、でも。いいや。頑張ろう。
 ベストの定義は様々ありますが、本のベストの定義は「何回、その作品を読み返したか?」だと思っています。一度読んだだけで「ああ、ほんとにこれすごいや。すごい作品読んだ」っていうものに今までもたくさん触れてきました。でも、自分が歳をとったり環境が変わっていくなかでそれでも本棚から何度でも引き出して読み返してしまう、過去と同じ気持ち、または新鮮な気持ちで読み返せてしまう。そういうものが、ベストだな、と。という訳で僕のオールタイムベストコミックは岩明均『寄生獣』(講談社)。中学生時代から何度読み返してきただろう? 「環境破壊」という単語がいまよりもっともっと中心にあったあの時代(この単語が薄れてきてしまったのはなぜだろう?)。人間を捕食する「パラサイト」という生物を描くことによって「人類とは?」「生きるとは?」という壮大なテーマに挑むと同時に、家族や友人、恋人といった身近な人々への愛を描いた作品でもありました。いつ読み返したって、この傑作は素晴らしい。
 何度も読み返してしまう作品を、あなたはいくつ持っていますか?

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いつもいつまでも手の届くところに!

これが我が家の本棚の特等席!
「卑弥呼の鏡か? 三角縁神獣鏡」のニュース、タイムリーな! まさにこの鏡にまつわる物語・北森鴻『狐闇』(講談社文庫)。お店を持たない骨董屋(旗師)・冬狐堂の陶子が窮地に陥る元凶となった「魔鏡」、謎が究明された時日本の歴史が根底から覆される。民族学者・蓮杖那智や北森作品のあの人この人が登場するのにもニマニマ。
 贈り物用にと聞かれてかなりの頻度で「これいかがすか!」鼻息荒くオススメするのはガブリエル・バンサン『アンジュール』(BL出版)。心ない人間に捨てられた子犬アンジュールの健気さ、たまらん。文字は無くまるでロードムービー風の画面は読む人独自のストーリーを作れそう。逸る気持ちを抑えつつ、じっくりゆっくりページをめくるべし。
 10代に読んだ本は自分の核というのか芯なんだろな、と思う。新井素子『星へ行く船』(集英社文庫)シリーズは偉大だ。コバルトデビューは氷室冴子『ざ・ちぇんじ! 前後編』(集英社)。無性に読み返したくなるので我が家の本棚では比較的取りやすい位置に鎮座ましまし。
あ、まだまだあるのに字数が足りないっ、じたばた。
【紀伊國屋書店 名古屋空港店(愛知県)山崎蓮代】

『びゅんびゅんごまがまわったら』宮川ひろ/作 林明子/絵 童心社
発行が1982年のこの絵本をなぜかこよなく愛しています。模造紙全版の大きさの紙芝居にしてもらうほど。あまのじゃくな校長が驚くほどかっこいい! この校長がびゅんびゅんごまを回す練習をする姿にほれぼれします。
【書店員・ころころむし】

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生き抜くこと、そして繋ぐこと

SFを読んで子供をつくろう!
 子供の頃から謎と不思議が大好きでした。気になってたのはノストラダムスの大予言。1999年って僕は24歳か、結婚してるかな。子供作る前に世界終わるのはやだ! あ、変な意味じゃないよ。人は生命を繋いでいけるのか?
 もっと小さな頃、猿の中でも優秀なのが人間になると思っていました。でも、違うらしいとわかってきた。さらに、ネアンデルタール人とホモサピエンスは繋がってないらしい、あれ? 人間はどこから来たの? 誰が作った? 作り方は? あ、変な意味じゃないですよ。
 そこでこの本! ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』(池央耿 訳/創元SF文庫)。月で発見された人間の遺体は、なんと5万年前のものだった。という強烈なつかみで始まるこの物語。彼はいったいどこから来たのか。人はどこから来てどこへ行くのか。子供の頃からの疑問にとんでもない驚きの回答を与えてくれます。壮大な謎と宇宙探検。知的興奮がはんぱない大傑作です。人の想像力の果てしなさにバンザイです。
 人類誕生の謎に宇宙のロマンを感じます。明日に生命を繋ぐ、子供を作るということに興味は尽きません。あ、変な意味じゃなくて、、、
【書店員・bibduck】

『渚にて』ネヴィル・シュート 佐藤竜雄/訳 創元SF文庫
終わりに向かう世界。もしも自分なら絶望を前にして、それでも胸を張って凛と生きることができるだろうか。SF文庫ですが、SFではありません。人間が生きることについてのとてもとても真摯な物語。
【啓文堂書店 三鷹店(東京都)西ヶ谷由佳】

『犬を飼う』 谷口ジロー 小学館文庫
飼い犬がだんだん年をとる。ただそれだけの話です。が、最後の最後まで力の限り生きようとする姿に心打たれます。生きるって、こういうことなのだ。人生で大切な事を、教えてもらった一冊。
【有隣堂 厚木店(神奈川県)佐伯敦子】

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人生で大事なことはすべて心友に学んだ

「今年の一冊」には逡巡するがオールタイムベストといえばこれしかない。約40年前、初めて自分のお金で買った忘れられない一冊。買った場所はもう存在しないかもしれない当時よく通っていた近所の本屋。「ドラえもんの丸い手は何を握っているか?」「どえらえーもん(名古屋弁で“すごくいいもの”)」というクイズが一時的に流行ったが、何百回と読み返したことか。カバーは外れて落書き三昧。しかし数々の思い出とともにいまだ色褪せない夢と希望がつまっている。理由は「忘れろ草」で失念したが、なぜか9巻から買い始め10巻、11巻、そして1巻に戻って買い揃えた。15巻からは初版だ。もちろん「てんとう虫コミックス」で著者は「藤子不二雄」が基本。まさに「人生で大事なことはすべてドラえもんに学んだ」と言えるが、ドラえもん話で盛り上がって結婚までしてしまったのだからキューピットでもあった。おっとこれ以上は「最強の亭主関白」のイメージが壊れるので割愛。
【三省堂書店 営業本部(東京都)内田剛】

『赤毛のアン』ルーシー・モード・モンゴメリ 村岡花子/訳 新潮文庫
「私の心友は時に見栄っ張りや意地っ張りだったりで大失敗もする。でも辛い境遇を豊かな想像力で乗り越えてとても愛情豊か。苦しい時にはいつも彼女の事を考える。その名はアン・シャーリー。」
【明林堂書店 ゆめタウン別府店(大分県)後藤良子】

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連載第4回
 有楽町の食いしん坊・新井見枝香の〝読んでから食う? 食ってから読む?〟

【三省堂書店有楽町店(東京都)/新井見枝香】

JKK会長のことば

みなさま、本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
この「自意識過剰の会」通称JKKは、今回でなんと100回目を迎えます。
ローストビーフが絶品と噂の帝国ホテルで、きらめく巨大シャンデリアの下、100回記念JKKロゴ入りTシャツ姿でマイクの前に立つ会長の私は、なんてイタい子なんでしょう。
今どんなお気持ちですかって?
もう・・・、自分で自分を焼き殺してステーキソースをかけずにシンプルに岩塩とわさびだけでシャラくさく提供したいような気持ちですよ!
あっ、帝国ホテルのパーティースタッフさんたち、今ポカンとしましたね。
このように、自意識過剰な言動は一般の人々に理解されないことが多く、我々は常日頃、生き辛さを感じています。
この会は、同じ悩みを持つ仲間同士で励まし合い、心の底からリラックスできる時間を過ごすためのもの。それゆえ参加条件は、「自意識過剰であること」。
私は毎回、会場の入口付近で、異分子が紛れ込まないように目を光らせています。
無駄に後ろを振り返り、誰も追っていないのに仮想敵をまこうと突然ダッシュし、窓ガラスに映る自分を凝視し過ぎて前から歩いて来た人に頭からぶつかり、絶対に痛いはずなのに不自然な微笑みを振りまき、あまつさえ口笛を吹いて余裕を演出しようとするもカスカスとしか鳴らず、恥ずかしさのあまり大量に発汗したせいでスーツに汗ジミを作って会場に入る。
このようにわかりやすい人ならいいのですが、自意識過剰を装って会場に入り込み、我々の自意識過剰っぷりを嗤い、この素晴らしい会を滅茶苦茶にしようとする悪魔のような輩が、必ずいるのです(←自意識過剰)。しかし今年から、確実に見分けられる方法を導入いたしましたので、みなさんご安心ください。
西加奈子さんの小説『舞台』(講談社)。
この単行本を通路のど真ん中に置いておき、ちょびっとでも踏んだら、そいつが異分子だ!
自意識過剰にとって、こんなに愛しい本はない。
自意識過剰の主人公が、たったひとりでニューヨークへ旅立つ。
読めばもう、物語の主人公は自分自身も同然。
その愛しい『舞台』という本=「私」を踏むことなど、結局世界でいちばん「私」が大好きである自意識過剰なら、絶対にありえないはずなのだ。さぁ、ここには自意識過剰しかおりません。自意識過剰は自分のことしか見ていません。
つまり、誰もあなたのことなど、見ていないのです!
この開放感に、乾杯!!

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by haredoku | 2014-04-16 11:37 | 『はれどく vol.5』 | Comments(0)

はれどく5号 配布店一覧

バタバタしているうちに、「はれどく」5号(一周年記念特大号!)が、配布開始になり早くも半月が過ぎてしまいました。

大変遅くなりましたが、現在配布している店舗の一覧です。ご参照ください。
(2014年3月31日現在)

※配布状況は各店舗によって異なります。一定部数を越えると配布終了するお店もございますので、お気をつけ下さい。

まだまだこれから配布して下さる書店さんもありますので、随時更新させていただきます。


青森県八戸市    成田本店 みなと高台店

栃木県小山市    進駸堂 中久喜本店

千葉県習志野市  丸善 津田沼店
千葉県市川市    山下書店 南行徳店
千葉県鎌ヶ谷市   くまざわ書店 新鎌ヶ谷店
千葉県松戸市   堀江良文堂書店松戸店
千葉県千葉市   蔦屋書店 イオンモール幕張新都心

東京都千代田区  三省堂書店 有楽町店

神奈川県平塚市  サクラ書店 平塚ラスカ店(駅ビル店)
神奈川県大和市  ブックポート203 大和店
神奈川県川崎市  ブックポート203 栗平店

横浜市港北区    三省堂書店 新横浜店

富山県富山市    紀伊國屋書店 富山店

名古屋市中区    ジュンク堂書店 ロフト名古屋店
名古屋市瑞穂区  七五書店
名古屋市中川区  精文館書店 中島新町店

愛知県西春日井郡  紀伊國屋書店 名古屋空港店

三重県名張市    ブックスアルデ近鉄店

大阪府高槻市    書店・治左衛門 緑が丘店
大阪府寝屋川市  TSUTAYA 寝屋川駅前店BOOK

広島県福山市    啓文社コア 福山西店

香川県高松市    TSUTAYA西宝店

福岡県福岡市    黒木書店 井尻店

大分県大分市    明林堂書店 大分本店

宮崎県都城市   ブックセンターリリーズ 都城店
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by haredoku | 2014-04-02 12:30 | 配布店一覧 | Comments(0)